堂島取引所、コメ先物の本上場を申請 市場復活なるか

2024.02.21 21:41
法令・制度 取引所 農水省
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「コメ先物市場復活」への議論が動き出した。堂島取引所は2月21日、農林水産省と経済産業省に対し、米の指数先物商品の上場認可を申請。両省の審査を経て、6月にも認可結果が通知される。コメ先物市場の歴史は、2023年11月に取引終了となった新潟コシEXWをもって途絶えていた。足元で米の現物市場が誕生し、リスクヘッジの手段として先物取引の必要性が高まっていることが、本上場申請の背景にあるようだ。


同取引所は、認可された場合、新たなコメ先物市場を開設する。農水省が毎月公表する米の相対取引契約の平均価格をもとに算出した指数先物商品を組成し、同市場に上場させる考え。組成する商品の詳細は、正式な認可をもって公表する。市場参加者は、卸売業をはじめとした実需者や商品先物取引業者などが想定されている。同取引所の担当者は、「トレードの世界の中で我々が指標を提示することで、日本の米を世界へより広げることに貢献できる」と話す。


本上場不認可で上場廃止の過去

同取引所によるコメ先物取引の本上場申請は、21年7月以来となる。当時、大阪堂島商品取引所(現堂島取引所)は、「新潟コシ」など5銘柄を期限付きの試験上場で取引していた。取引継続には試験上場期間の延長申請が必要だったが、延長申請はせずに本上場申請一本にかけた。


恒久的に取引できるようになる「本上場」の申請は過去2回にわたり不認可となっていた。所管の農水省からは取引量の少なさが指摘されていたが、21年6月の1日平均出来高は約6000枚と過去最高を記録。当時の中塚一宏社長は、「認可されない理由がない」と自信を示していた。


だが、同省から告げられたのは、「不認可」の通知。意見聴取の場では、取引量は基準を満たしたと判断されたものの、取引に参加する業者数が伸びていないことなどが指摘された。結果として、試験上場で取引していたコメ先物銘柄は上場廃止の道を歩むことになった。


現物市場開設は追い風になるか

今回、堂島取引所が本上場申請に踏み込んだ背景には、米の現物市場の存在がある。23年10月、オンライン上でオークションや価格交渉を通じて売買できる「みらい米市場」が開設。農協などを介さずに米が取引できる現物市場の出現により、先物取引の必要性が高まった。21年7月の本上場申請時とは異なる環境が、認可申請を後押しする材料となったようだ。


農水省は24年1月、「米の将来価格に関する実務者勉強会」の取りまとめを公表。現物相対取引や現物市場取引と先物取引などを組み合せて活用することで、「各事業者が将来の価格変動に対するリスク抑制を行う場合の選択肢が広がる」と明記した。


坂本哲志・農林水産相は2月6日の記者会見で、同取引所から上場申請があった場合、「十分な取引量が見込めるか、生産・流通を円滑にするため必要かつ適当かといった点について、慎重に判断をしていかなければいけない」と述べた。

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