あおぞら銀、24年3月期赤字280億円 大見氏が社長に

2024.02.01 20:03
役員人事 決算
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新社長に就任する大見氏(右)と谷川社長(2月1日、本店)
新社長に就任する大見氏(右)と谷川社長(2月1日、本店)

あおぞら銀行は2月1日、大見秀人副社長(58)が4月1日付で社長に昇格する人事を発表した。谷川啓社長(61)は取締役に退く。同日公表した24年3月期の連結業績予想では、米国オフィス向け融資の引当金や有価証券の含み損処理が響き、280億円の最終赤字を見込む。会見で谷川氏は「もう少し早い段階からアロケーションをリバランスしておくべきだった」と話し、経営体制を刷新してリスク管理と収益増強に力を入れていく。


谷川氏は会見で経営トップの交代について「指名報酬委員会でCEO候補者を選定し、これまで育成計画を進めてきた」と説明。今期業績に対する引責辞任については否定した。大見氏を後任として推した理由は「デジタル、グローバル分野のビジネス経験があり、内外に幅広いネットワークがあるため、あおぞら銀行を成長させていくふさわしいリーダーであると確信している」と述べた。


大見氏は「決算であおぞら銀行を取り巻くもやもやを晴らした」と表現。バランスシート上の課題である米国のオフィス向け融資と有価証券の含み損の抜本的処理に動いた。米国のオフィス向け融資は、中間期に124億円の引当金を積んだが、さらに追加で324億円を計上。米国不動産市場は非常に流動的で、安定的な状態に戻るには1~2年を見込んでいる。オフィス案件を全て精査し、今後2年間で想定される最大限の損失リスクに備えた。オフィス以外の海外向け貸出は好調とし、今後も30%代で推移させる。


また、谷川氏は「米国金利の低下や円金利の上昇が見えかけたこのタイミングで、有価証券の売却処理に動いた」と説明。第3四半期に外貨ETF(上場投資信託)、第4四半期にモーゲージ債の売却を進め、合算で410億円の損失を計上する見込み。また、「外国債券の割合が大きすぎた」とし、外債の売却処理を進め、今後は円債に振り向けていく方針。


自己資本比率は8.8%と目標を下回るため、第3四半期と期末の配当予想は無配となる旨については陳謝を繰り返した。


大見氏は抱負を問われ「社会変化に合わせたあおぞら型投資銀行ビジネスを推し進めていく」と強調した。「メガバンクの規模や地域銀の営業基盤を持たない銀行が存在感を示すためには、マーケット草創期から参入していたLBOローンやベンチャーデットに一層磨きをかけていく」方針。


このほか、山越康司副社長が会長に就任する。谷川氏は6月の株主総会をもって取締役を退任する予定だ。


大見 秀人氏(おおみ・ひでと) 89年慶大卒、日本債券信用銀(現あおぞら銀)入行、16年7月執行役員特命事項担当、19年7月常務執行役員経営企画担当兼コーポレートセクレタリー室担当兼特命事項担当、21年7月代表取締役副社長執行役員投資銀行本部長兼信託ビジネス本部長、22年4月代表取締役副社長執行役員法人営業推進本部長(現職)。

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