米国銀行界、オマローバ・OCC長官候補指名に反発

2021.10.10 04:47
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米バイデン政権が9月23日、次期財務省通貨監督庁(OCC)長官候補に指名したソール・オマローバ コーネル大学法学部教授に銀行界が反発している。同氏指名に対して、米国銀行協会(ABA)、米国独立コミュニティー銀行家協会(ICBA)などが、相次いで反対を表明。ロビー活動を展開している。


オマローバ氏は、女性でカザフスタン出身。女性でアジア系のトップが誕生すれば、設立以来160年近い歴史を持つOCCで初めてとなる。ただ、同氏が話題を呼んでいるのは、銀行行政の考え方そのものだ。暗号通貨に対して懐疑的で、JPモルガンチェースが今年に入ってから多くの企業へ買収攻勢を展開していることも疑問視していると、伝えられる。


前任のジョセフ・オッティング氏が、バンク・オブ・アメリカや三菱UFJ銀行系のユニオンバンク・オブ・カリフォルニア(現MUFGユニオンバンク)にも勤務するなど、バンカーとして、現場を熟知していたのに対し、オマローバ氏は、根っからの学者。ジョージ・W・ブッシュ政権下、財務省で金融行政の特別顧問を務めたが、銀行の実務経験はなく、金融行政に精通しているわけではない。銀行やテクノロジー企業の影響力が増すことに警戒感を隠さない。


オマローバ氏は、米議会上院で承認されれば、正式に第32代OCC長官に就任するが、予断を許さない状況だ。


なお、OCC長官ポストは、前任のオッティング氏が2020年5月に辞任して以来、長官代行が実務を仕切り、空席となっている。

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