柳沢祥二・全国信用組合中央協会会長 「『甲辰』は成長の年」

2024.01.01 04:50
全信中協
メール 印刷 Facebook X LINE はてなブックマーク
年頭所感(全信中協)

信用組合は、協同組織金融機関として、地域・業域・職域社会のため、その使命と役割の発揮が期待されているところであり、事業者・生活者の最も近くで伴走支援する信組の重要性は今後も増していくものと認識している。年頭に当たり、信組が取り組むべき4つの課題について申し述べたい。


第一の課題は、事業者支援の推進だ。多様な経営課題に直面する取引先に対しては、円滑な資金繰り支援は当然のこと、経営改善支援、事業再生支援および事業承継支援をはじめ、創業・スタートアップ支援、ビジネスマッチング、デジタルトランスフォーメーション(DX)支援など、各信組がこれまで築き上げてきた地域における関係者とのネットワークを最大限に活用し、伴走支援を通じた事業者の経営の持続可能性の確保に全力を尽くす。


第二の課題は、経営管理態勢の強化だ。喫緊の課題であるマネロン・テロ資金供与対策、サイバーセキュリティ対策について的確かつ迅速に対応することが必要だ。マネロン・テロ資金供与対策については、本年3月末までにマネロン等対策に係るガイドラインに基づく態勢整備を完了することが求められており、最終段階に入ることから、これまで以上に経営陣主導のもと態勢整備を進めていくことが肝要となる。また、サイバーセキュリティ対策については、顧客への信頼性の観点から避けては通れない重要な事案であり、引き続き、実効性のある態勢整備に向け、取り組んでいく。


第三の課題は、組織力・人材力の向上だ。信組の役職員が、事業者・生活者が抱える諸課題を的確に把握し、コンサルティング機能の発揮により質の高い金融サービスを提供していくためには、役職員一人ひとりの能力向上は勿論のこと、組織が一体となり総合力をもって取り組むことが不可欠だ。信組の総合力向上のためにも人的資本経営を経営の優先課題として位置付け、その実践の効果が取引先の満足につながる好循環となるよう、人材の育成、確保に努めていきたい。


第四の課題は、デジタル化への対応だ。デジタル化の推進は、信組業界における重要事項の一つと位置付けており、特にキャッシュレス化や非対面取引の拡大など、取引先に対するデジタル技術を活用した利便性の高い金融サービスの提供は優先的に取り組むべき事項と考えている。さらには、信組自身においても、業務のデジタル化により、事務作業のシステム化などによる業務の合理化・効率化を図ることで、取引先への支援強化に取り組める態勢を一層整えていきたい。


本年の干支は、「甲辰(きのえ・たつ)」。辰は、十二支の中で唯一架空の動物であるため、現実を超えたパワーがダイナミックに働いて変化をもたらしていくと考えられている。また、甲は十干の始まりにあたり、生命や物事の始まりを意味し、この2つが合わさる年は、これまでのコツコツと蓄えられた努力が花を咲かせ、これからの成長をさらに形作っていく年になるといわれている。信組業界においても、"ちかくにいるから、チカラになれる。"を合言葉に、さらなる成長の年になるよう努力していきたい。


すべての記事は有料会員で!
無料会員に登録いただけますと1ヵ⽉間無料で有料会員向け記事がご覧いただけます。

有料会員の申し込み 無料会員でのご登録
メール 印刷 Facebook X LINE はてなブックマーク

関連記事

信組界、商談会 150社出展へ 物産展は5年ぶり対面で
全信中協、ユーチューブで情報発信 登録者6万人に信組をPR
全信中協、ACCUの活動見直し 予算減で〝受け身〟へ
全信組連、信組の運用業務支援 14信組と戦略を議論

関連キーワード

全信中協

おすすめ

アクセスランキング(過去1週間)