御室健一郎・全国信用金庫協会会長 「新3か年計画をスタート」

2024.01.01 04:50
全信協
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年頭所感(全信協)

信用金庫は、本年も変わらず取引先中小企業の課題解決に取り組み、地域社会・経済の持続的な発展に向けて、その役割を発揮していくことが求められている。新年を迎え、信金業界が重点的に取り組むべき課題は以下の5つになる。


第一点目は、「新3か年計画の積極的な推進」だ。「しんきん『未来を拓く変革への挑戦』3か年計画~信用金庫の真価の発揮と地域の持続的発展を目指して~」を策定し、2024年4月からの3か年計画がスタートする。新たな計画では、信金の目指すべき姿として「会員、お客さま、そして職員をはじめとする地域のすべての人の成長と幸せのために行動し、協同組織の地域金融機関として地域が抱える課題解決に貢献し、持続可能な地域社会を創る」ことを掲げた。すべての信金がそれぞれの地域において必要不可欠な存在であり続けることを目指していきたい。


第二点目は、「伴走支援の推進」だ。現下の厳しい経営環境では、中小企業の経営者が単独で経営課題を解決していくことは難しく、信金による伴走支援のニーズは従来にも増して高まっている。伴走支援により、取引先中小企業の経営力を強化し、新たなビジネスチャンスを生み出すことで、取引先や地域社会の持続的な発展に寄与していくことが重要となる。


第三点目は、「環境変化に対応した経営基盤の強化」だ。信金が地域社会の課題解決に貢献していくためには、今後想定しうる環境変化を見据えたリスク管理や業務の合理化・効率化により経営基盤を強化し、将来にわたって健全性を確保していくことが必要だ。特に2%の物価安定目標の実現の兆しや内外の金利差の状況を踏まえると、日本銀行がいつ金融政策の見直しを行ってもおかしくない。来るべき金利上昇局面に備えて、金融市場の動きを注視したポートフォリオ管理により一層留意する必要がある。


第四点目は、「進展するデジタル技術への適応」だ。対顧客業務に関するデジタル化の取り組みの遅れは、信金の競争力に重大な影響を及ぼす恐れがある。業務やサービスに関するデジタル化の取り組みを一段と加速し、社会環境の変化に適応していく必要がある。全信協、信金中金、SSC、共同センター、さらには各地区の情報サービス会社や各地区協会においても、互いに緊密に連携しながら、信金のニーズに即応した金融業務のデジタル化を引き続きサポートしていくことが肝要だ。


第五点目は、「戦略的な広報の実現」だ。全信協においては、信金中金などとも連携し、個々の信金が単体では手掛けにくい広範かつ多様な広報活動を業界として展開していくことで、「信金の認知度・好感度の向上」や「信金の顧客数の増加、顧客層の拡大」、「優秀な人材の確保」につなげていくことが求められている。広報対象となる世代や伝えるべき信金の価値を明確に設定し、それらに応じた最適な表現・手法を選択するなど、より効果的な広報活動をより効率的に推進していきたい。


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