1位は「日銀、植田総裁が就任」 読者が選んだ今年の10大ニュース
2023.12.22 04:45
本紙読者が選ぶ2023年の「金融界の10大ニュース」が決定した。1位は得票数1382票(得票率87.2%)の「日銀、植田和男総裁が就任。10年ぶりの交代」。初の学者出身者による金融政策のかじ取りに金融界の注目が集まった。2位は1311票(同82.8%)の「金融庁、ビッグモーターと損保ジャパンに立ち入り検査」。金融庁は保険金不正請求問題で、ビッグモーターに初の代理店登録の取り消し処分を下した。損保ジャパンの白川儀一社長は辞任を表明。3位は1302票(得票率82.2%)の「インボイス制度スタート」。金融機関は、制度対応に追われる中小事業者の支援に奔走した。(詳細をニッキン2023年12月22日号に掲載しています)
1位 日銀、植田総裁が就任

4月9日、日本銀行の第32代総裁に植田和男氏が就任した。10年ぶりの交代で、初の学者出身。黒田東彦・前総裁のもとで推し進めてきた異次元緩和を引き継ぎ、「積年の課題」と位置付ける2%物価安定目標の達成へ決意を示した。
2位 ビッグモーターと損保ジャパンに立ち入り検査

金融庁は9月19日、保険金不正請求問題が発覚した中古車販売大手ビッグモーターと損害保険ジャパンに立ち入り検査に入った。問題発覚後も顧客紹介を続けた責任を取り、損保ジャパンの白川儀一社長は辞任を表明。
3位 インボイス制度スタート

10月1日、インボイス制度(適格請求書等保存方式)が始まった。課税事業者が発行するインボイスの保存が仕入税額控除の要件となり、中小事業者は対応に追われた。金融界は取引先への周知に加え、円滑な導入に向けた支援を展開した。
4位 全銀システムに障害発生

銀行間送金を担う全国銀行データ通信システム(全銀システム)で10月10日に障害が発生し、三菱UFJ銀行など10行で他行宛て振込ができなくなった。復旧に丸2日間を要し、顧客影響は566万件に。決済の中核インフラへの信頼が揺らいだ。
第5位 「新NISA」開始決定

3月28日、2023年度税制改正法案が国会で可決され、少額投資非課税制度(NISA)の抜本的な拡充と恒久化が決まった。新NISAへの移行を「貯蓄から投資へ」の好機と捉え、口座獲得競争が活発に。
6位 新型コロナ5類に移行
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5月8日、新型コロナウイルスの感染症法上の位置づけが「2類相当」から「5類」に移行。マスク着用ルールが緩和されるなど3年間続いた自粛生活に終止符が打たれた。感染防止用のアクリル板などの撤去も始まった。
7位 日経平均、バブル崩壊後最高値

11月20日、東京株式市場で日経平均株価が一時3万3853円まで上昇し、バブル経済崩壊後最高値を更新した。1990年3月以来33年8カ月ぶり。ただ、短期的な過熱感や年初来高値超えを背景に利益確定売りが優勢となり、この日は反落して取引を終えた。
8位・日銀、YCC修正

7月28日、日本銀行がイールドカーブ・コントロール(YCC、長短金利操作)の修正を決めた。市場機能改善に向けて長期金利の形成をマーケットに委ねるスタンスに転換。10月にも「再修正」し、長期金利が1%に迫る場面も。
9位 シリコンバレー銀など米地銀破綻連鎖
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3月10日、米国シリコンバレー銀行が経営破綻した。その後、クレディ・スイスなど米欧の複数金融機関に信用不安が拡大。SNSで経営不安が流布し預金が急減少したことで、国内金融界でも「預金の粘着性」が経営リスクに浮上した。
10位 ドル円、再び151円台

11月1日の東京外国為替市場で一時1ドル=151円台まで円安が進んだ。米連邦準備制度理事会の金融引き締め長期化の観測から日米金利差拡大が意識され、ドル買い・円売りが進展。財務省がけん制する場面も。