財務省、月内にも郵政株3次売却 復興財源確保にメド
2021.10.06 19:30
財務省は10月6日、日本郵政株の第3次売却を早ければ月内にも実施すると発表した。10億2747万株を売り出し、9000億円以上の収入を見込む。保有比率は、3分の1まで引き下げる。東日本大震災からの復興財源として確保を求められてきた「4兆円程度」にメドを付ける。
10月29日~11月2日の間に売却する。10月25~27日に売却価格を決め、決定日の4営業日後に売り出す。発行済株式のうち27%を売り、保有比率を60%から33%まで下げる。
郵政の株価は10月6日終値で926.6円。現時点の株価に基づけば、ある程度割り引いた売却価格を設定しても収入は9000億円を超える見通し。政府はこれまでに累計3兆円以上の売却収入を確保しており、今回で4兆円前後に到達する。
売り出しを担う主幹事証券は、大和、みずほ、SMBC日興、ゴールドマン・サックス、メリルリンチ日本、JPモルガンの各証券会社。75%を国内、25%を海外の投資家に販売する。2019年に主幹事を決め3次売却へ動き出していたが、かんぽ生命保険による不正販売問題の表面化などで株価が低迷したため見送っていた。
同省は15、17年に1、2次の売却を実施。2回で約2兆8000億円を確保しており、21年6月には郵政の自社株買いに応じて約2500億円の収入を得た。
郵政は同日、1000億円を上限に自社株買いを実施することも発表。11月から22年4月までに市場から最大で1億3300万株を取得し、将来的には消却する方針。株主還元策に注力する。
郵政民営化法は、政府による郵政株の保有比率を早期に3分の1まで引き下げるよう求めている。復興財源の確保期限は27年度に設定されており、郵政株の売却は法令で期限を定められていないゆうちょ銀行・かんぽ生命に比べて優先事項となっていた。今回の売却後、郵政は財務省と歩調を合わせる必要がなくなるため、金融2社株の追加売却を検討しやすくなる。
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