全銀ネット、システム障害はメモリ作業領域不足 再発防止へCIO設置
2023.12.01 18:46
全国銀行資金決済ネットワーク(全銀ネット)とNTTデータは12月1日、10月に発生した全国銀行データ通信システム(全銀システム)障害の発生原因の分析結果や今後の再発防止策を公表した。11月30日に金融庁に提出した報告書を、全銀ネットの辻松雄理事長とNTTデータの佐々木裕社長が説明した。
障害は10月10〜11日に発生し、全銀システムと個別金融機関を接続するリレーコンピューター(RC)を更新した14行のうち、三菱UFJ銀行など10行でRCのシステムがダウン。他行宛ての送金(仕向け送金)と他行からの着金(被仕向け送金)の合計566万件に影響が出て、10月11日のコアタイムシステム終了時点で102万件が未処理となった。
原因については、RCを更新する際にOS(基本システム)のバージョンアップによる影響を見誤り、メモリの作業領域が不足。内国為替制度運営費のチェック処理時に、環境構築時に使用する生成プログラム不具合により、データ破損につながったと説明した。NTTデータの佐々木社長は「初歩的というレベルではないものの、組織として押さえておくべき点で判断を誤った」と話した。
また、障害発生後に復旧に向けた優先順位について、全銀ネットとNTTデータの間で取り決めていなかったため復旧に時間を要したことも要因にあげた。
銀行の利用者に対する被害の補償は、各金融機関がそれぞれ対応中。11月17日までに直接的な損害の約8000件・約800万円について補償した。補償に関して、全銀ネットやNTTデータの間でどのように負担するかは今後決める。
再発防止策として、全銀ネットはシステムを所管する最高責任者としてCIO(最高情報責任者)を1人置く。現在、社内外の人材から選定中で、就任後は社長・頭取級が出席する全銀ネットの理事会や各種委員会に出席予定。全銀ネットの辻理事長は「リスク管理を含めてシステムに詳しい方に、専門知識を活用して検討に参画していただく」と話した。今後の加盟金融機関のRC移行については「障害の不安を一つ一つ潰しながら進めたい」と話した。
24年4月以降、システム人材の強化にも着手する。加盟金融機関からの出向受け入れや外部採用によりシステム人材を確保するとともに、全国銀行協会などとの人事ローテーションにより人材も強化する予定。
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