麻生財務・金融相が最後の会見、「育成庁へ道筋、資産形成に期待」
2021.10.04 12:21
10月4日午前、8年9カ月にわたり在任した麻生太郎財務・金融相が最後の会見を開いた。金融行政で注力してきた点については「金融処分庁」から「育成庁」への転換を、在任中の成果についてはNISA創設などを挙げた。
金融庁のスタンス転換については、「処分庁というイメージを変えないと話にならなかった」と振り返った。NISA創設を通じた資産形成の促進に関しては、「約2000兆円ある個人金融資産のうち、いまだに約1100兆円が現預金というのは信じがたい」と課題を指摘した。「在任中にフィンテックが猛烈な勢いで台頭し、金融を取り巻く環境は大きく変わった」とも話した。
財務相としては、日本銀行と協調して目指してきた2%の物価安定目標達成を実現できなかったものの、「大規模な金融緩和と財政出動は民間企業の投資拡大や賃金引き上げにつながった」と語った。
最終合意を目前に控える国際課税ルールの見直しに関しては、「8年前のG7で法人税引き下げ競争を止めるよう提起した時、ほとんどの国が反応しなかった」と振り返り、粘り強く交渉を続けてきた成果を強調した。
コロナ禍については、「金融機関の資金繰り支援により、私が首相を務めた時のリーマン危機に比べ、倒産・失業の発生を抑えられている。引き続き対策を継続する必要がある」と話した。
麻生氏は、2012年に第2次安倍内閣が発足してから3205日にわたり財務・金融相を務めた。金融相としては歴代最長。財務相としては戦後最長で、戦前を含めても歴代3位になっていた。今後は自民党副総裁として、岸田文雄総裁を支える。後任の財務・金融相には、麻生氏の義弟で自民党総務会長などを歴任した鈴木俊一・衆院議員が就く。
麻生氏は鈴木氏について、「豊富な経験を持っており、分かりやすい答弁もできると思う」と期待を示した。鈴木氏の就任会見は、組閣翌日の10月5日に開かれる見通しだ。
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