四国地区地域銀、4行が増益 4~9月期決算
2023.11.14 18:44四国地区地域銀行8行の2023年4~9月期決算(単体)が11月14日に出そろった。資金利益が好調だった一方、海外金利の上昇が有価証券運用や外貨調達コストなどに影響。中間純利益で4行が増益、4行が減益となった。
全8行の純利益合算は、481億6700万円(前年同期比9.8%増)。増益となった伊予銀行は、好調な有価証券運用を背景に中間期で過去最高益の240億8700万円(同25.6%増)を計上。阿波銀行や四国銀行、過去最高益の徳島大正銀行でも、貸出金利息や役務取引等利益の増加などを要因に増益を確保した。
一方、減益となった地域銀では海外での金利上昇に伴う影響が出た。百十四銀行では、金融派生商品収益や外国為替売買益が減少。愛媛銀行では、外貨調達コストの増加や外国債の売却損が響いた。そのほか、前年同期に法人税負担が抑えられた反動で香川銀行が、システム投資による経費増加で高知銀行が、それぞれ減益となった。
ただ、本業の貸し出しは各行ともに中小企業向けを中心に伸びている。コロナ禍で行った実質無利子・無担保(ゼロゼロ)融資の返済が「顧客の8割程度で始まる」(百十四銀の綾田裕次郎頭取)など本格化するなか、原材料費や燃料費の高騰、人手不足などへの対応など「資金面以外の支援にも力を入れる」(愛媛銀の西川義教頭取)と。
足元では倒産件数がじわりと増えつつある。徳島大正銀と香川銀の持ち株会社トモニホールディングス(HD)の中村武社長は「コロナ禍と違った意味で気が抜けない。これからが正念場であり、万全を期していきたい」と話し、引き続き取引先のサポートに力を入れていく姿勢だ。
メガバンクを起点に全国に広がっている定期預金金利の引き上げに対しては、状況を見極める姿勢が相次いだ。ただ、伊予銀の持ち株会社いよぎんHDの三好賢治社長は「場合によっては11月中にも修正しようと考えている」と述べ、後日に11月20日からの引き上げを発表した。
通期の業績予想については、今後の日銀政策や経済動向などへの不透明感から据え置く動きが目立った。純利益ベースでは、伊予銀、徳島大正銀、香川銀の3行が上振れを見込んでいる。
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