近畿地区地域銀の4~9月期、3行・Gが増益 引当金戻りなどで 

2023.11.13 22:54
決算
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近畿地区の地域銀行6行・グループ(G)は、11月13日までに2023年4~9月期決算を発表した。コロナ禍で計上した引当金の戻り益や22年度に実施した外国債券などの売却損がなくなったことなどで、3行・Gが増益を確保。京都フィナンシャルグループ(FG)は新しい少額投資非課税制度(NISA)を見据えた個人投資家対策で、株式を4分割して小口化する株式分割を発表。滋賀銀行、京都FG、池田泉州ホールディングス(HD)、紀陽銀行は増配を発表した。


◇滋賀銀、3連続で過去最高益


滋賀銀行の連結純利益は、前年同期比5億8400万円(4.9%)増の125億1800万円だった。中間期としては3期連続増で過去最高を更新した。貸出金利息収入が約40億円増加したことなどが理由。


単体のコア業務純益(除く投資信託解約損益)は前年同期比63億円(34.7%)減の118億4900万円となった。年間の配当金は中間期に創立90周年の記念配当10円を上乗せして1株50円とし、年間90円にする。


◇京都FG、通期300億円へ上方修正


京都FGは経常利益、純利益ともに2年連続で過去最高(連結・単体)を更新。24年3月通期の連結純利益は前回の280億円から300億円に上方修正した。また、期末配当で京都FG設立記念配当60円を実施(予想)。1株当たり配当は220円、総還元性向は97.3%になる。


京都銀行単体では、コロナ禍で要注意先にした先のランクアップなどで一般貸倒引当金戻入益が約21億円、また法人向け手数料収入など役務取引等利益が前期比9億円増の68億円となるなどで、純利益は35億2200万円(23.4%)増の185億9500万円になった。


24年3月期予想(通期)は、経常収益1310億円(予想1231億円)、経常利益423億円(同394億円)にそれぞれ上方修正した。23年度配当は中間期と期末で1株当たり各80円の160円を予想していたが、期末は記念配当60円を実施し、年間220円にする。また、2024年3月末までに130億円(上限)の自己株式取得を実施。総還元性向は97.3%となる。


また、12月31日を基準日として、普通株式1株を4株にする株式分割を行う。


◇関西みらいFG、通期目標の進捗83%


関西みらいフィナンシャルグループ(FG)は、連結純利益が141億円(前年同期4億円増加)と4年連続で増益。当初の通期目標に対する進捗率は83%。貸出金末残は経営統合後、初の10兆円を突破した。貸出金増加を背景に、一般貸出金収益は221億円と前年同期比5億円増加した。


役務取引等利益は143億円で前年同期比22億円減少。西山和宏社長は「投資信託・保険販売手数料は減少しているが、投資信託報酬・決済は増加している。ストック型への転換が順調に進んでいる」という。


みなと銀行単体の中間純利益は、前年同期比600万円(0.2%)増の31億5300万円。与信費用の減少(同12億6800万円減)が寄与した。


単体のコア業務純益(投資信託解約損益を除く)は前期比8億1600万円(14%)減の50億1700万円。資金利益は同6700万円(0.4%)増の157億1300万円。国内貸出金利息は129億円と15年ぶりに反転した。


24年3月期の単体純利益予想は期初目標40億円で変更なし。


◇池田泉州HD、与信費戻り益減


池田泉州HDは純利益が前年同期比5億9500万円(8.1%)減の66億8100万円となった。与信コストの戻り益減少が要因だが、5月公表の業績予想を20億円上回った。


池田泉州銀行単体では、純利益が同12億1000万円(18.2%)減の54億2300万円。引当金の戻り益が同12億4800万円減少したことなどが要因。


コア業務純益(投資信託解約損益を除く)は、同8億200万円(10.4%)減の69億3300万円。役務取引等利益は同2億6400万円(6.6%)減の37億1400万円。M&A(合併・買収)や事業承継、証券子会社への紹介手数料は増加したが、手数料型住宅ローンの減少などが響いた。一方、国債等債券損益は前年同期比13億2200万円改善して8億2600万円のマイナス。


池田泉州HDは24年3月期純利益を106億円(5月公表86億円)に上方修正。これを踏まえ、中間配当と期末配当を5円から6.25円に増配。年間配当金は12.5円になる見込み。


◇南都銀、顧客サービス利益は増加


南都銀行の純利益は、外貨調達費用の増加や投資信託解約損益の減少などで、前年同期比5億5200万円減の59億5200万円。通期業績予想の当期純利益110億円は据え置く。


与信関連費用は17億9800万円の戻入益などがあったが、投信などの解約益が減少したため銀行単体の中間純利益は前期比6億7800万円減の61億800万円。顧客向けサービス業務利益は同11億円増の27億円となった。


中間配当は1株当たり40円、期末配当は同64円(含む特別配当24円)を予想し年104円となる。


◇紀陽銀、株式関係損益減響く


紀陽銀行は、株式等関係損益が減少したため、連結純利益は前年同期比27億7800万円減少の65億3200万円となった。貸出金利息は18年9月期をボトムに5期連続増加し、23年9月期は180億500万円(前年同期比7億4000万円増加)に。預かり資産、事業性関連の役務取引も増加し、役務取引等利益(連結)は60億2600万円と過去最高。最重視する顧客向けサービス業務利益(単体)も72億7200万円と堅調に推移した。


本業で稼ぐ力が増強されたことから、株主還元方針の変更と増配を実施。株主還元率は、従来の「30%以上」から「40%以上」に変更。配当金は中間期、期末とも5円増配し、年間50円とする。

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