三菱UFJ銀、為替リスクヘッジ対応強化 東海地区で取引量2割増
2023.10.24 04:50
三菱UFJ銀行は、為替リスク関連の相談対応を強めている。事前にレートを確定させる為替予約取引や、特定の通貨をあらかじめ定めた期間に一定の価格で売買する通貨オプションの引き合いが増加。東海地区では2022年度の取扱件数・金額ともに21年度比で約2割増えるなど、輸出入を手がける企業の支援を積極展開している。
為替リスク関連の相談が増えた背景には、日本と米国の金融政策のスタンスの違いが影響。22年3月から円安が進行し、円相場が一時1ドル150円台と32年ぶりの円安水準に。特にコスト高に直結する輸入企業からのリスクヘッジ相談が増えた。
取り扱いで最も多いのが、為替予約取引。買掛金の決済がある企業があらかじめ銀行とレートを決めておけば、為替相場の動きに関係なく決済時のコストを確定できる。同取引が1年以内の短期契約が多いのに対し、海外の仕入れ先と長期契約を結ぶ企業からは通貨オプションの引き合いが増加。取引先の貿易量や貿易形態などに応じて、オーダーメイドで提案する。
一方、輸出企業にとって円安局面は利益が増大することから、売り上げや利益確定を目的とした為替予約や通貨オプション需要もある。
長引く円安を受け、ヘッジ対応の必要性がなかった企業でも改めて検討する動きが出てきた。これまではコスト増を国内販売先への価格転嫁などで吸収できていたが、限界を迎えていることが大きい。企業のビジネスを把握している同行の営業店担当者が再度提案することで、新規取引も増えている。
また、リスクヘッジ対応の増加に合わせて、為替リスク管理に関する社内規定のコンサルティング支援に注力。為替相場の動きに対する結果論で損得の議論が起こらないよう、企業組織内でルール化したうえで執行する必要がある。同行は培った知見をもとに管理規定のたたき台を提供。ヘッジ対応検討の際にセット提案するなど、企業がリスク管理を自立的に行えるコンサルに力を注ぐ。
為替リスク対応を必要とする企業は、ビジネスや商流による。例えば自動車部品製造業でも、輸出入両方を手がける企業はリスクヘッジできているためだ。東海地区4県では8人の本部専担者と営業店が同行で、「先入観を持たず商流を丁寧に聞き、情報提供しながら企業に最も適した提案を進めていく」(大嶋辰徳グローバル営業推進室長(中部担当)=10月1日付で名古屋営業第一部次長に異動)と力を込める。
【異業種交流の関連記事】
・地域銀、外貨保険の業績評価見直し 円建てと差なくす
・地域銀など、外貨建て保険 伸び顕著 4~7月9%増、金融庁は警戒
・百五銀、クーポンスワップ好調 特約付き100件に迫る
・住友生命、窓販向け年金を改定 円建て追加