マーケット・トレンド(債券) 米国10年債利回り5%乗せ
2023.10.25 04:25
米国10年債利回りは遂に5%の大台に乗った。タームプレミアムが大幅に拡大するなかでの利回り上昇とされるのだが、タームプレミアムは不確実性や需給悪化などへの懸念が高まった際に、投資家が利回りに上乗せを求めるものと定義される。
財政拡張やFRB(米連邦準備制度理事会)による国債買入縮小など、主に債券需給に係る不安がタームプレミアムの押し上げにつながっていると目されており、2024年の大統領選挙に向けて、有力候補が財政赤字を拡大させるとの不安も利回り上昇に影響していると言えそうだ。
ただ、ドルが基軸通貨であることの恩恵を受ける米国で、ドルの信認を大幅に低下させるほどの放漫財政が容認されるとは考え難い。
また、24年の大統領選挙までは超党派での景気刺激策は期待し難く、むしろ、それが景気不安を介して利回りの低下要因となる公算が高そうだ。
景気の底堅い米国において、利上げが終わらないとの思惑が債券買いを躊躇させ、結果、需要が高まらないことが最大要因となって需給不安が生じている側面が強いが、景気減速で利下げが意識され始めれば、需要が喚起され、タームプレミアムも利回りも低下に向かおう。
SMBC日興証券金融経済調査部 チーフ為替・外債ストラテジスト 野地 慎氏
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