全銀システムの送金不具合、11日も復旧せず 11金融機関の他行宛て振込に影響
2023.10.11 12:26
全銀システムで10月10日に発生した障害が同11日も続いている。全国銀行資金決済ネットワーク(全銀ネット)は同10日の夜間に作業を続けたが、同11日11時時点で復旧のめどは立っていないと発表した。他行宛て振込ができなくなった11金融機関では着金が遅れる可能性がある。
全銀システムは全国銀行資金決済ネットワーク(全銀ネット)が運営する。不具合は10月10日朝に発生し、11金融機関で他行宛ての振り込み処理ができなくなった。約140万件の振り込みに影響が出たが、そのうち約100万件は同日19時までに代替手段で送金を完了。残る約40万件は夜間の「モアタイムシステム」での送金、または翌11日に持ち越された。全銀システムと各金融機関をつなぐリレーコンピューター(RC)の不具合が要因。銀行利用者に影響を及ぼす全銀システムの障害発生は、1973年の稼働以来初めて。
他行宛て振り込みができなかったのは、三菱UFJ 銀行、りそな銀行、埼玉りそな銀行、関西みらい銀行、山口銀行、北九州銀行、三菱UFJ信託銀行、日本カストディ銀行、JPモルガン・チェース銀行、もみじ銀行、商工組合中央金庫の11金融機関。
全銀ネットは6年ごとにRCを更改している。今回、不具合が生じた金融機関は23〜29年に24回に分けて移行するうち第一陣だった。9日までに実証テストも行っていたものの、10日8時30分過ぎに不具合を検知。RCが内国為替制度運営費(銀行間で支払う手数料)をチェックする行程で問題が発生したと把握したため、9時30分頃にRCのシステムをリブート(再起動)したが、システム不具合は解消しなかった。14時30分には他行宛振替データを入力した媒体を全銀ネットに持ち込む代替手段への切り替えに着手。17時から19時頃まで代替手段を使った振り込み取引処理を実施した。
平日15時30分〜翌日8時30分と休日の即時着金に対応する「モアタイムシステム」は通常通り稼働中。個別銀行とモアタイムシステムを接続するRCは更改していないため、他行宛振り込みの問題も発生していない。
11日8時30分以降は再びコアタイムシステムを稼働させる。それまでにシステムを改修できなければ、10日と同様に代替手段での対応を余儀なくされることになる。
RC更改の第二陣は24年1月に計画するが、変更を余儀なくされる可能性もある。
10日夜のオンライン記者説明会で、全銀ネットの辻松雄理事長は「40万件の処理ができず大きな問題だと捉えている。短期間で再発防止策をまとめる」と述べた。