【推薦図書】『真田太平記(一)天魔の夏』(池波正太郎著)
2023.10.06 04:30
【推薦者】freee finance lab・小村充広氏
面白くて止まらない一冊
弱者が強者に一泡吹かせるのは、スポーツでもビジネスでも戦乱の世でも痛快だ。
真田太平記は天正10年(1582年)の武田氏滅亡からのおよそ40年間、上・信二州の弱小大名の昌幸・信之・幸村の真田父子が知略謀略そして真田忍びたちを巡らし、時に天下の権力者を翻弄(ほんろう)しながら激動の戦国乱世を生き抜こうとする物語である。
池波正太郎が描く物語の舞台と個性豊かな登場人物達とその言葉はリアルで、読者はその場に入り込み登場人物の声や風の音を聞き情景を眺め匂いさえもかいでしまう。
推薦者は、岩櫃城内の「地炉ノ間」で真田昌幸が忍びの壺谷又五郎から武田勝頼の自決の様子を聞くシーンが好きだ。昌幸は囲炉裏の前の熊の皮に座り又五郎と酒を飲みつつ語り合う。又五郎の少し酔った赤ら顔と熊の皮の獣の臭いをなんとも怪しく想像してしまう。
読者はその後の物語を同時進行で期待し、時間がたつのも忘れ一気に読み進んでいく。想像を膨らませつつ物語を楽しむのは、本来の読書の絶対的目的のひとつであると思う。
(新潮文庫、税込み880円)
関連キーワード
おすすめ
アクセスランキング(過去1週間)
- 中堅の外資生保、乗合代理店からの要求に苦慮 変額保険手数料で
- 地域金融機関、半数の250機関が預金減 金利戻りパイ奪い合い
- 広島銀、金利再来でALM改革 各部門の収益責任 明確に
- 多摩信金、住宅ローン168億円増 業者紹介案件が4割強
- 横浜銀や静岡銀など20行庫、生成AIの実装拡大へ 検証結果・最善策を共有
- 金融庁・警察庁、URL貼付禁止案を軟化 銀行界から反発受け 不正アクセス防止で
- カムチャツカ半島付近でM8.7の地震 一部金融機関の店舗で臨時休業
- 七十七銀宇都宮法人営業所、東北へのつなぎ役に徹する 開設2年で融資170億円
- 信金中央金庫、栃木信金に資本支援 資本注入ルールを改定
- 北国FHD、次世代「勘定系」を外販 初期導入費ゼロで28年1月から