【推薦図書】『真田太平記(一)天魔の夏』(池波正太郎著)
2023.10.06 04:30
【推薦者】freee finance lab・小村充広氏
面白くて止まらない一冊
弱者が強者に一泡吹かせるのは、スポーツでもビジネスでも戦乱の世でも痛快だ。
真田太平記は天正10年(1582年)の武田氏滅亡からのおよそ40年間、上・信二州の弱小大名の昌幸・信之・幸村の真田父子が知略謀略そして真田忍びたちを巡らし、時に天下の権力者を翻弄(ほんろう)しながら激動の戦国乱世を生き抜こうとする物語である。
池波正太郎が描く物語の舞台と個性豊かな登場人物達とその言葉はリアルで、読者はその場に入り込み登場人物の声や風の音を聞き情景を眺め匂いさえもかいでしまう。
推薦者は、岩櫃城内の「地炉ノ間」で真田昌幸が忍びの壺谷又五郎から武田勝頼の自決の様子を聞くシーンが好きだ。昌幸は囲炉裏の前の熊の皮に座り又五郎と酒を飲みつつ語り合う。又五郎の少し酔った赤ら顔と熊の皮の獣の臭いをなんとも怪しく想像してしまう。
読者はその後の物語を同時進行で期待し、時間がたつのも忘れ一気に読み進んでいく。想像を膨らませつつ物語を楽しむのは、本来の読書の絶対的目的のひとつであると思う。
(新潮文庫、税込み880円)
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