家計金融資産に「貯蓄から投資」、「円から外貨」の兆し
2023.10.04 04:25
6月末時点の家計金融資産は2115兆円と過去最大を記録した。新たな資金流入に加え、株高が資産価値を押し上げたことが背景。内訳をみると、円貨建て金融資産が全体の97%近くを占め、うち「預貯金」が全体の半分以上、金額で1100兆円を超えた一方、「株式」の運用は約13%にとどまった。
米国では「預貯金」が約12%、株式や債券への運用が半分以上とまさに日本とは真逆の状況だ。ここ20年の家計金融資産の伸び率を比較すると、日本は1.4倍程度にとどまるが、米国は約3倍に拡大しており、株式運用の成果が大きな差に表れている。
ただし、日本の保守的傾向にも変化の兆しがみられる。日本の家計金融資産を昨年12月末と今年6月末で比較すると、「株式」はおよそ10.5%から12.7%、外貨性資産は3.2%から3.5%へ全体に占める割合が上昇した。徐々に「貯蓄から投資」、「円から外貨」への潮流が進展している。
大幅な円安局面では、円はドルやユーロに対し価値が大きく目減りするが、預貯金の一部を外貨に振り替えることで一定程度は為替リスクをヘッジできる。この先も円安が進むとの前提に立てば、「投資目的」だけではなく「防衛目的」からも「円から外貨」への資金シフトが有効であろう。
東海東京調査センター投資戦略部グローバルストラテジーグループ 金利・為替シニアストラテジスト 柴田秀樹氏
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