全銀協5委員長に聞く(中) 小池・市場国際委員長(三井住友銀専務執行役員)
2021.09.17 05:00
◆LIBOR移行、最終段階
――2021年度の課題を。
「ロンドン銀行間取引金利(LIBOR)移行とグローバル市場の各種規制への対応が市場国際委員長の大きな役割になる。特に21年末は円LIBORの公表停止を控え、いよいよ最終段階。さまざまな形で会員行を後押ししたい」
――顧客との交渉状況は。
「日本円金利指標に関する検討委員会は、LIBOR参照取引について9月末までの『顕著な削減』を掲げており、各行が対応を加速させている。後継指標の運用も始まり、お客さまの理解も進んでいるので、さらに交渉を進展させたい。一方、真に移行が難しい場合の『シンセティック(擬似)LIBOR』の利用が国内外で議論されているが、金融庁・日本銀行は安易に依拠せず移行を継続することが重要との共同声明を出している。この方針にのっとって作業を進めていく」
――店頭デリバティブ報告規制は。
「08年のリーマン・ショック以来、報告規制は強化される方向にある。日本でも22年10月以降、金融庁への直接報告が廃止され、取引情報蓄積機関を介した報告へ一本化される。会員行の対応を促したい。もう一点、取引の識別子を含めた報告項目の質と量が拡充される国際要請ではシステム対応が必要になる一方、置かれた状況は、銀行の規模によって異なる。証券界も含めて業界横断的に話し合いながら、最適な方法を整理・検討し、意見発信していく」
――市場見通しを。
「今後の焦点は、米国を中心に財政・金融政策の正常化のスピードだ。ただし、金融政策においてアクセルを緩めるテーパリングとブレーキを踏む利上げは似て非なるもの。来年に中間選挙を控えたバイデン政権が、その前に利上げに動くとは考えづらく、景気の下支えは続くだろう。日本は新政権が新たな日本の成長ストーリーを描けるかがポイント」
――短期金融市場の業務継続計画(BCP)は。
「毎年実施する証券・外為市場との合同訓練では、首都直下地震を想定シナリオにして、11月頃の実施を予定している。コロナ禍を機に、各行はBCP対応や働き方を変えてきている。それぞれの変化やノウハウを共有することで、互いの意識改革を促したい」
小池 正道氏(こいけ・まさみち) 57歳。87年関学大卒、入行、執行役員・市場営業部長、20年専務執行役員・市場営業部門統括責任役員・三井住友FG執行役専務。
(聞き手=西川 元)
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