FRB議長、追加利上げ示唆 インフレ低下「確信」まで引き締め
2023.08.26 09:51
FRB(米連邦準備制度理事会)のパウエル議長は8月25日の講演で、「さらに金利を引き上げる用意がある」と追加利上げを示唆した。労働市場の不完全な需給調整や実質賃金の伸長といった実態を踏まえ、持続的なインフレ低下の「確信が持てる」まで、金融引き締め環境を継続する姿勢を強調。インフレの抑え込みは「長い道のり」と表した。
米ワイオミング州で開催中の経済シンポジウム「ジャクソンホール会議」(カンザスシティ連銀主催)の講演でパウエル議長は、足元の「データ」を持ち出し、物価や労働市場に関する不透明感や先行きの不確実性を訴えた。
全品目の動向を示す総合ベースでのPCE(個人消費支出)インフレ率は、2022年6月に付けた7%をピークに下がり、23年7月には3.3%まで低下した。食料とエネルギーを除く「コア」も6、7月に低下したが、「このペースが今後も続くかわからない」とし、水準についても「依然として高い」と指摘した。
労働市場の需給については、需要は抑制され、供給が改善するなか、賃金上昇圧力は緩和。ただ、インフレ率以上に賃金が上がる状況が続き、実質賃金は伸び幅が拡大する。「政策対応を要する可能性がある」と追加利上げを含む引き締め継続の妥当性に触れた。
マーケットで焦点となった「インフレ目標」の見直しについては、「2%をゴールとする」と〝不変〟を明言。一方、「中立金利」に対するFRBの認識は、「実質金利が中立金利を大きく上回っている」としながら、大幅利上げを進めても堅調な経済情勢を踏まえ「中立金利を明確に特定することはできず、政策効果には不確実性がある」と解釈の余地を残した。
次回(9月)以降の追加利上げを示唆したFRB。前々回(6月)のFOMC(連邦公開市場委員会)では「23年内にあと2回の利上げをする」意向を示した。前回(7月)のFOMCで利上げを決めており、残り3会合のいずれかで、さらなる利上げに踏み切る可能性が高い。
FRB議長講演を受け、25日のニューヨークダウ工業株30種平均は、前日比247.48ドル高の3万4346.90ドルで引けた。同日の米10年債利回り(長期金利)は、タカ派的な講演内容が伝わると一時的に上昇したものの、その後は安定。一日を通して4.2%台を維持した。米ドル円相場は、金融政策スタンスの日米かい離が一段と意識され、一時、1円近い円安に。1ドル=146円台半ばで推移した。
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