いまさら聞けない時事用語 保険代理店
2023.08.20 04:30
保険会社と委託契約を結んだ事業者が、保険会社の代理人として保険商品を販売する。そのため、保険代理店が顧客の申し込みを承諾すれば、保険会社との間で保険契約が成立したことになる。保険金の不正請求が発覚した中古車販売大手のビッグモーターは、損害保険の代理店だ。
保険の代理業務だけを行う専業代理店と、兼業代理店がある。ビッグモーターは後者。多くの自動車販売店は、顧客が車の購入と同時に自動車保険に加入できるように、保険代理店となっている。住宅販売会社は、住宅購入と同時に火災保険に入れるように保険を扱っている。銀行も、金融商品の品ぞろえを充実させるために、代理店として保険を販売している。
専業・兼業以外の区分としては、1社の保険商品のみを販売する専属代理店と、複数の保険会社の商品を取り扱う乗合代理店がある。
保険会社には、自社の保険商品を各代理店が適切に販売する体制を整えているか管理する義務が課せられている。
金融庁はビッグモーター問題を受け、同社と損害保険会社に対し、本格的な調査に乗り出した。その一環として、7月31日に保険業法128条に基づき、報告徴求命令を出した。任意のヒアリングとは異なり、虚偽の報告があれば法的な罰則がある。今後は立ち入り検査も視野に、保険代理店としてのビッグモーターの業務実態や、損保との取引関係を詳しく調べる方針だ。
調査の結果、法令違反が見つかった場合は、行政処分の対象となる。想定される処分内容としては、業務改善命令や、ビッグモーターに対する代理店登録の取り消しなどがある。