【推薦図書】『ガイアの復讐』(ジェームズ・ラブロック著)
2023.08.18 04:45
【推薦者】三菱UFJニコス副社長・榎本真樹氏
暑い夏は続くのか?
今年も暑い。命の危険をも感じる気温が日常になる中で、昨年103歳で亡くなった英国の科学者ラブロックの「ガイア仮説」に関わる一連の著作を思い出した。
ガイア仮説は「地球は常に太陽の熱に曝されているが、地球は冷却メカニズム、自己調節システムを持ち、その時点での生命にとって適切な環境を作り出そうとしている」として、地球を一種の生命体(ガイア)として捉える考え。
しかし、このシステムは、人類が火を発見し、化石燃料を燃やすことで文明を築いてきた結果、急激な二酸化炭素濃度の上昇で機能不全に陥りつつある。更に機能劣化は戦争、都市化、人口増加で加速している。
もはやガイアにとって人類は共生する存在ではなく、言わば「交戦状態」にある。人類が勝てる見込みはない。温暖化により人類が地上から排除されないためには、ガイアの機能を阻害するような、化石燃料からの二酸化炭素排出等は止めなければならないと。
1970年代、温暖化に警鐘を鳴らしたガイア仮説は十分に理解されなかったが、50年以上が経過し、今や切迫した問題となった。「我々はゆっくりだが学んでいる」と亡くなる2年前のインタビューで同氏は希望を示していたが、「ガイアを冷やす」ために何が出来るのか? 今一度問題の原点を同書で振り返りたい。
(中央公論新社、税込み1760円)
関連キーワード
おすすめ
アクセスランキング(過去1週間)
- 北陸銀と北海道銀、営業支援システム導入 年18万時間の作業削減
- 金融界、「隠れリース」特定に本腰 27年の新基準適用迫り
- 群馬銀、ストラクチャードファイナンス3年5.7倍 RORA向上に寄与
- 金融庁、決算書入手方法を調査 地域金融の実態把握へ
- 京都中央信金、理事長に植村専務が昇格 白波瀬氏は代表権ある会長へ
- 福井銀、野村証券と包括提携2年 預かり残高5000億円超
- 固定型住宅ローン、金利〝決め方〟見直し機運 参照指標「再検討」も
- メガバンク、上場廃止増えLBOローン好調 三菱UFJ銀は管理高度化
- 信金、店舗減少が小幅にとどまる 職員数推移との格差鮮明
- 地域銀・信金、NISA口座伸び悩む 3カ月の増加率1%