【インサイト】アグレックス、山﨑・執行役員ビジネスプロセスインテグレーション事業本部長
2023.07.14 21:36
アグレックスは、企業のデジタルトランスフォーメーション(DX)化を一括で支援する「まるっとデータ化」サービスを金融機関向けに取り扱っている。紙媒体の処理など負担の大きい業務を代行し、コア業務に専念してもらうもので、大手ネット証券などが導入を検討中。執行役員の山﨑忍氏(61)に金融機関のDX化推進策などを聞いた。
DX化を一括支援
――貴社のDX戦略は。
「DX化を一貫して支援するのが特徴だ。金融機関の事務は顧客から書類やデータを受け取り、確認するという”受付登録業務”が7割を占める。弊社は、郵送物は開封し、紙はAI‐OCR(光学文字認識)で読み込み、データ化する。データ化した書類の精査やチェックは、デジタルで実行するプロセス基盤を構築しており、全業務を請け負える」
――金融機関の導入は。
「大手ネット証券などで検討が進んでいる。サービスの一部は証券会社を中心に、複数の金融機関ですでに利用されている」
――金融機関のDX化への課題は。
「金融機関は受付登録業務などを内製化しがちだ。その場合、導入製品ごとに精度のバラつきがあり、予期せぬ問題が起こる。行職員が自ら解決したり、設備投資をしたりすると、コストが増加し、労働生産性も下がる。また、受付登録業務が複数の部署に分散化されており、非効率な状況になっている」
――今後の展開は。
「相続や住宅ローン分野は紙の扱いが多く、対応の要望が多い。ビジネス・プロセス・アウトソーシング(BPO)会社での相続支援システムはプラットフォームを提供するが、手続き全体のデータ化を支援するものはない。そのため、弊社はデータ化支援も進めている」
――金融機関へ提言を。
「経営者はシステム化の将来像を打ち出し、現場から紙削減へ向けた協力を取り付ける必要がある。また、1社だけでDX化を達成するのは、コストもかかり難しい。事務は競争領域ではない。同じ業態の他機関と議論し、皆で標準化していくことも解決策だと思う」
おすすめ
アクセスランキング(過去1週間)
- 北陸銀と北海道銀、営業支援システム導入 年18万時間の作業削減
- 金融界、「隠れリース」特定に本腰 27年の新基準適用迫り
- 群馬銀、ストラクチャードファイナンス3年5.7倍 RORA向上に寄与
- 金融庁、決算書入手方法を調査 地域金融の実態把握へ
- 広島銀、請求書業務のDX後押し 新システムで決済口座確保
- 京都中央信金、理事長に植村専務が昇格 白波瀬氏は代表権ある会長へ
- 固定型住宅ローン、金利〝決め方〟見直し機運 参照指標「再検討」も
- 地銀、外貨保険販売が36%減 24年度下期、10万件割れ
- 信金、店舗減少が小幅にとどまる 職員数推移との格差鮮明
- 地域銀・信金、NISA口座伸び悩む 3カ月の増加率1%