ジュニアNISAとは?概要や仕組み、世代別のメリットなどを徹底解説!
2023.07.06 13:50
ジュニアNISAは子どもの将来のために、親や祖父母などが運用する非課税投資制度です。2024年からは廃止されることが決まっていますが、今からでも開設するメリットや概要についてご紹介します。
目次
ジュニアNISAとは?
ジュニアNISAは、未成年の方のための非課税投資制度です。子ども1人あたり、年間80万円までの株式投資信託や上場株式への投資で得られる収益に税金がかかりません。払い出しには制限がありますが、子どもへの教育資金を早いうちから準備しておきたい場合や、親元を離れて暮らせるようになってからのサポートなどに役立てることができます。
なお、ジュニアNISAの口座開設は2023年9月末までとなっており、それ以降は新規口座の開設ができません。これにより、2024年以降の新規購入はできなくなりますが、子どもが18歳になるまでは非課税のまま運用が可能です。
口座開設できるのは登録親権者または未成年後見人で、運用については未成年者本人の二親等以内の親族に限られています。
・ジュニアNISAの仕組みとは?
ジュニアNISAの基本的な仕組みを押さえておきましょう。
ジュニアNISAでは、最長5年間、毎年80万円までの投資枠内で運用した収益が非課税となります。つまり、従来の方法であれば80万円×5年間で最大400万円までの投資にかかる収益が非課税になるということです。
まずはジュニアNISA口座の開設が必要で、銀行や証券会社、郵便局等の金融機関で行うこととなります。一度選んだ金融機関は、その後変えることができないため注意が必要です。ただし、ジュニアNISA口座を作るためには、それぞれの金融機関で子ども名義の未成年口座を作らなければなりません。基本的には、これらを両方同時に申し込むことが可能です。
ジュニアNISAの申し込みは、金融機関から税務署への申請を伴うため、投資を始めるのはその後となります。配当金に税金がかからないようにするために、上場株式の配当金やETF、REITの配当金の受けとり方法を「株式数比例配分方式」にする手続きが必要です。
運用を開始して5年後、非課税期間が終了する段階で、課税口座に移すか、翌年の非課税枠に移す「ロールオーバー」を行うことで非課税のまま金融商品を保有することも可能です。
18歳までの払出し(引き出し)制限がある
ジュニアNISAでは、原則、子どもが18歳になるまで口座から払い出しをすることができません。しかし全くできないというわけではなく、途中で払い出す場合は非課税で受け取った過去の収益の税金を納めることとなります。
災害など、やむを得ない事情がある場合には、税務署の確認ののち非課税で払い出せるケースもあります。
ただ、この制限に関しても、2024年以降の制度廃止に伴い変更となり、2024年からはいつでも引き出せるようになります。
・ジュニアNISAを開設・利用できるのは誰?
ジュニアNISAは子どものための非課税投資制度ですが、口座開設ができるのは登録親権者または未成年後見人です。そして、それらの者も選んだ金融機関に専用口座を開設する必要があります。
子育て世代が開設するメリット・デメリット
ジュニアNISA口座は、0歳から開設することができます。子育て世代の方は、自分の子どもの資産運用をジュニアNISAで行い、将来の教育資金等に備えることが可能です。両親はつみたてNISAを利用すれば、非課税枠を十分に活用しながら資産運用ができるでしょう。
従来であれば、18歳未満での引き出し制限があり、デメリットでした。しかし、2024年以降はいつでも引き出せるため、さほどデメリットには感じないでしょう。
祖父母世代が開設するメリット・デメリット
ジュニアNISAは、二親等以内の親族、つまり祖父母なども運用管理者となることが認められています。祖父母が孫への生前贈与のために利用する方も少なくありません。もし、祖父母に万が一のことがあり、相続財産を分けることとなった場合、相続税が発生します。しかし、ジュニアNISAで運用すれば相続財産が減り、相続税の節税になるというメリットがあるのです。
ジュニアNISAでの新規投資額は年間80万円までです。したがって、従来であれば5年間、最大400万円までの非課税投資が可能でした。祖父母が孫のために節税をしながら財産を残す手段として、メリットがあったということです。
・ジュニアNISAの買付可能額はいくら?
ジュニアNISA口座で株式や投資信託等を非課税で投資できるのは、年間80万円までとなっています。これには、手数料等は含まれていません。
・ジュニアNISAの期間はいつまで?
ジュニアNISAが利用できる期間は決まっています。特に、廃止が決まっている現在においては、従来の仕組みの理解だけでは不十分なこともあるため注意しましょう。
1:口座開設可能期間
ジュニアNISAの口座の利用者は0歳~19歳(2023年からは17歳)までですが、既に2023年までと廃止が決まっている状況です。そのため、新しい口座の開設はできなくなります。新規口座開設は2023年9月末までとなっており、注意が必要です。
2:投資可能期間
新規口座の開設は2023年9月末までですが、新規投資に関しては12月末まで行うことが可能です。
3:非課税となる期間
ジュニアNISAの非課税期間は5年間です。ただし、制度が終了する段階で18歳に満たない方については、ロールオーバーして非課税のまま金融商品を保有することが可能です。
4:ロールオーバー(非課税期間延長)
5年間の非課税期間が満了するとき、翌年のジュニアNISA口座の非課税投資枠へと移すことで、非課税のまま金融商品を保有することを、ロールオーバーと呼びます。従来であれば、翌年の非課税投資枠を使う方法がとられていましたが、制度終了後においては時価が80万円を超えている場合もすべてロールオーバーで継続管理勘定に移せます。
・ジュニアNISAの開設で押さえておきたいポイント
これからジュニアNISA口座を開設したい場合は、以下のポイントに注意しましょう。
1:ジュニアNISAの口座は1人1口座のみ
ジュニアNISA口座は1人1口座のみ。複数の金融機関を利用して、複数の口座を持つことはできません。
2:ジュニアNISAの口座は金融機関変更ができない
既にジュニアNISAの口座を持っている場合、途中で金融機関を変更することはできません。もし、変更したい場合は、一度ジュニアNISA口座を閉鎖して新たな金融機関で再度開設する手続きが必要です。ただ、ジュニアNISA口座の閉鎖にともない、2023年末までは過去に得た利益に対して課税されるため注意が必要です。
3:現在運用中の投資信託はジュニアNISA口座に移管できない
特定口座や一般口座に預けている上場株式や株式投資信託等は、ジュニアNISA口座に移せません。したがって、ジュニアNISA口座では新たな資金を用いて運用していく必要があります。
4:非課税枠の再利用・繰り越しはできない
年間80万円までとする非課税投資枠を、翌年に繰り越すことはできません。したがって、たとえ前年に20万円しか投資していなかったとしても、残りの60万円分の枠は翌年に繰り越せないということです。
5:ジュニアNISAの口座は損益通算できない
ジュニアNISA口座内での利益や損益と、未成年口座で発生した利益や損益は、損益通算することができません。損失の繰り越しもできないようになっています。
6:最長5年の投資期間終了後について
最長5年の投資期間が終了した後、まだ18歳になっていない方については、非課税のまま金融商品を保有することができます。
まとめ
ジュニアNISAは廃止が決まっているため、これから口座を開設したい方は早めの手続きが必要です。口座開設は2023年9月末まで、新規購入は12月末までとなっていることを踏まえて検討されることをおすすめします。
【執筆者】ニッキンONLINE編集部