いまさら聞けない時事用語 地方税のQRコード
2023.06.11 04:30
全国の都道府県や市区町村は、4月から地方税の納付書にQRコードの印字を始めた。納税者は、それを読み取ることで電子納付が可能になった。目的は二つある。一つは、納税者がわざわざ銀行やコンビニに足を運ばなくても納税できる便利さ。もう一つは、地方税の収納を代行している金融機関の事務負担を軽減すること。
総務省、地方自治体、全国銀行協会などの関係機関が協議し、全国統一のQRコード規格を定めた。99%以上の地方自治体(47都道府県と1731市区町村)が、2023年度納税分からQRコードを適用している。金融機関側は、4月時点で374機関が窓口でのQRコード収納の準備を整え、ATMのQRコード対応も順次進めている。
納税者はスマートフォンでQRコードを読み取れば、スマホ決済アプリで電子納付ができる。従来と同じように納税者が金融機関に納付書を持ち込む場合でも、金融機関側の負担は大幅に減る。金融機関窓口でQRコードから必要な情報を読み取り、「eLTAX(エルタックス=地方税共通納税システム)」にデータを送信すれば、納付情報が地方公共団体に送られるためだ。
eLTAXは、地方税の手続きをインターネット上で行うシステム。従来の電子納付は主に法人を対象としていたが、統一QRコードの導入によって個人の利用も広がる見通し。
地方税の納付件数は、推計で年間約4億6000万件にのぼる。うち約1億2000万件が銀行窓口での納付だ。全銀協の試算では、税金や公金の処理コストは金融機関全体で年間600億円を超える。デジタル化によって、そのコストを圧縮できれば、金融機関と地方自治体の双方にとって大きなメリットとなる。