【米ワシントン現地取材㊦】 ICBA・レイニーCEO 「差別化の根幹は地域密着」
2023.06.04 04:22
米国独立コミュニティー銀行家協会(ICBA) レベッカ・ロメロ・レイニーCEO
――コミュニティーバンクの経営状況は。
「とても強い。資産内容も業績も良く、預金も安定している。SVBやファースト・リパブリック・バンクなどの影響で預金流出が起きているのは中堅銀行だと思う」
――なぜ預金流出が起きないのか。
「コミュニティーバンクは、地域との関わりが長い。頭取は地元ではよく知られた人だ。そうしたことが信用を培ってきた。それが新興銀行などとの差別化になっている。また、長期にわたってお客さまとの間に築いた人間関係に基づくコア預金は、目先の投資リターンのために他行に出ていくということはない」
――SNSによる預金流出の速さは。
「われわれも、そうしたことがコミュニティーバンクでも起こり得るのかどうかを自問している。しかし、われわれは地域での強いネットワークがあり、それが信頼関係につながっている。一夜で預金が流出して破綻するようなことは起きないと思う」
――預金金利を上げる動きは。
「FRBが急速に利上げをしたこともあり、預金獲得のために一部の会員行では金利を上げる所も出てきた」
――銀行の規制・監督の強化については。
「今回の破綻は特異な銀行の個別問題。コミュニティーバンクには新しい規制やルールは必要ないと思う」
――ワシントンでのロビー活動では、何を訴えていくのか。
「具体的にはさまざまな案件があるが、まずコミュニティーバンクは、大きな銀行とは違うことを訴えていく。大手行は複雑であるが故に構造的なリスクを持っている。われわれはそうではない」