メガバンクや大手保険、ESG投資加速へ有益情報 日立と共通基盤
2023.05.25 19:01
メガバンクや大手保険会社は5月25日、日立製作所が打ち出す「サステナブルファイナンスプラットフォーム(SFPF)」構想に賛同し、事業構想検討に関する覚書を締結した。共通基盤となるシステム上で上場企業と機関投資家を有益な情報でつなぎ、ESG(環境・社会・ガバナンス)投資を一層加速させる狙いがある。
2022年10月にSFPF構想を表明した日立主導のもと、その構築にみずほ銀行、三菱UFJ銀行、三井住友銀行、日本生命保険、東京海上日動火災保険、三井住友海上火災保険、あいおいニッセイ同和損害保険、損害保険ジャパンの8社が参画する。
背景にはESGに関する非財務情報の国際的な開示ルールや評価手法の公的基準が整備されていない事情がある。そのため、上場企業はさまざまな開示方法や開示項目に対応するため膨大な作業を強いられるほか、機関投資家は上場企業ごとに開示データが異なることから情報収集や企業間の比較評価が難しくなっていた。
今回、SFPFで上場企業と機関投資家の間でESGの開示データを巡って相互理解を深めるサービスを提供することにより、効果的・効率的な情報開示と機関投資家の投資判断を促進する。
今後、共同でサービスを提供する一般社団法人を設立し、今秋にはお試しの「ベータ版」を提供する。ベータ版には既に公開されている情報に加え、温室効果ガスの排出量など上場企業が自ら登録した投資に役立つ情報も含まれる。
上場企業50社のほか機関投資家やアセットマネジメント会社の5先に試行してもらい、その結果のフィードバックや有用性の検証を経て24年秋に「正式版」を有料でリリースする予定。メガバンクや大手保険会社は取引先にも声がけをするなどして正式版の利用を上場企業の600~700社規模まで広げたい考えだ。