【PR】専門家と考える事業承継の処方箋 ニッキン参加型勉強会を初開催

2023.05.08 11:52
講演会・セミナー 事業承継支援
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会場で吉川代表(右)の講演を聞く受講者(4月28日、第2ニッキンホール)
会場で吉川代表(右)の講演を聞く受講者(4月28日、第2ニッキンホール)

事業承継機構の吉川代表が登壇


日本金融通信社(ニッキン)が、金融機関のコンサルティング能力向上に向けて企画した「ニッキン参加型勉強会」。第1弾として4月28日、ニッキン第2ビルで「専門家と考える事業承継の処方箋」を開催した。金融機関の行職員を中心にリアルとオンラインのハイブリッドで計110人(うち会場19人)が参加。専門家として、事業承継機構の吉川明代表取締役が登壇した。2025年に日本の中小企業127万社が後継者不在で廃業を迎えるという社会問題の解決を最優先の目的とする同機構は、「転売なし、統合なし、移転なし」で、自らが承継企業を受け継ぎ、持ち株会社として永久保有するという第3の解決策を示す。


営利最優先では解決できない


日本の中小企業386万社のうち、後継者不在の中小企業は127万社。ただ、営利を最優先の目的とするM&A(合併・買収)仲介会社や投資ファンドで解決できるのは、「全体の2%程度」。統合前提のM&Aや転売前提のファンドを嫌う経営者もいて、事業承継が進まない一因となっている。事業承継機構は、事業承継問題の解決を最優先の目的とし、社会に必要な全ての中小企業を主役としているのが異なる点だ。



事業承継機構と投資ファンド・事業会社の違い
事業承継機構と投資ファンド・事業会社の違い

同機構の使命は「事業承継問題を全面的に解決し、日本の宝である中小企業を子や孫に残す」こと。中小企業を自ら承継し、転売せずに永久保有し、次の100年も生き残れる会社にするために、企業を強化・支援し続ける。2018年11月の設立から4年半で13社を承継。維持している経済(売上)は70億円超、雇用約600人に上る。


独自プラットフォームで課題に向き合う


事業承継は企業、経営、人材、資金に関わる100超の課題を抱える。これらの解決策をパッケージ化した仕組みが同機構の「事業承継プラットフォーム」だ。このプラットフォームには、「連帯保証解除」「経営シェアリング」「人材確保・育成」「支援体制」「外部連携」「事業承継未来ファンド」といった機能を備える。



事業承継プラットフォームを活用した経営シェアリングで後継者の負担を軽減 のコピー
事業承継プラットフォームを活用した経営シェアリングで後継者の負担を軽減

連帯保証解除は100%


例えば、親族以外の後継者にとって連帯保証の引き継ぎは大きな負担。中小企業庁の調査では、「保証解除できるのはわずか10%」。そこで、承継時に第三者目線で同機構が徹底調査し、会社の財務諸表を透明化。承継後も財務諸表の適正化を維持し、金融機関に定期報告する仕組みを提供。金融機関の信用を得て連帯保証の解除を100% 実施できている。


経営シェアリングで後継者の負担軽減 


創業者は、人を動かすリーダーシップに加え、ビジョン(中長期計画・業界分析)、専門知識(法務・会計・IT)、ネットワーク(取引先・各種団体)、事務(労務・税務・行政手続き)、ファイナンス(経理・財務・銀行交渉)と1人6役をこなす。この仕事をそのまま引き継げる後継者は少ない。リーダーシップを除く他の業務を、機構本体がプラットフォームで支援する。大企業の社長が持つ経営環境を中小企業に提供。「後継者になる敷居を下げ、負担を減らす」という。


大手企業卒業生を承継先の幹部に


中小企業が生き残るためには、〝人財〟が最大の課題。プラットフォームには、提携先大企業約20社の卒業生を中心に350人超の登録者から後継者社長、幹部人財、現場専門職を提供している。大企業社員が中小企業の幹部になるための再教育プログラム「承継社長塾」も展開している。士業専門家、上場会社役員など約30人超のアドバイザー陣が支援できる体制を敷く。


30先超の金融機関と協力


金融機関とは、商工組合中央金庫、地方銀行(沖縄銀行、筑邦、鳥取)、第二地方銀行( 香川銀行、北日本銀行、徳島大正)、静清信用金庫、野村証券など約30機関と協力関係にある。ファンドの組成や承継先の情報共有などで連携している。


個人投資家でもインパクト投資


同機構は、金融商品取引業者(運用業/二種業)としての側面も持つ。機関投資家同様に個人投資家も1口100万円からインパクト投資に参加できる「事業承継未来ファンド」を日本で初めて提供。商工中金とは共同出資で「つながる未来ファンド」(総額31.5億円)を組成。同ファンドの出資を通じて、新設する事業承継SPC(特別目的会社)が承継対象法人の株式を取得。取得後、両者を合併させることで事業を承継するものだ。


創業65年のものづくり企業を承継


勉強会では、実際に事業承継プラットフォームを活用した事例を紹介。その一つが、創業65年のものづくり会社。材料の調達・加工から検査までを一貫して行い、建設機械の燃料タンク、消防車の筐体、空港で荷物を運ぶブルクカートなどを制作し、黒衣として大企業を支える。後継者不在により第三者への承継を経営者が希望し、同機構が承継。後継社長として、同機構の承継者候補から大企業出身者が就任し、経営シェアリングを活用して経営を引き継いだ。


金融融機関に三つのメリット


こうした事業承継プラットフォームの活用で、同機構と連携する金融融機関には、三つのメリットがある。一つ目は「転売なし、統合なし、移転なし」により、承継企業の海外流出の可能性を防ぎ、企業を地域内に残せる。二つ目は、①専門の仲介業者よりもM&A仲介料が入る②LBO(レバレッジド・バイアウト)を通じて通常は借り入れ需要のない地元優良企業への新規事業性評価融資(最大5000億円)につながる③相見積もりを取らず相対取引のため、有利な条件で関連融資を実行できる―という収益機会。三つ目は、金融機関のシニア人材の受け皿にできることだ。


10年で5000社の承継めざす


勉強会終盤では、質問が相次ぎ、その後の吉川氏との名刺交換に列ができた。受講者から「このような事業承継の手法があるとは知らなかった」との声もあった。吉川氏は10年で5000社の承継を目指している。そのためには、より中小企業の身近な存在である金融機関との連携が不可欠。「各都道府県で1金融機関以上のアライアンスを目指したい」と意気込む。


【講師略歴】


(株)事業承継機構 代表取締役 吉川 明氏(よしかわ あきら)



慶大卒、Thunderbird School of Global Management MBA/USCPA、野村証券、日本政策投資銀行を経て、Yamato Capital Partnersを創業。これまでに1000社以上の〝目利き〟を行い、IPO7社、起業7社などを支援し、18年11月にYamatoさわかみ事業承継機構を創業。22年12月に事業承継機構に組織変更し現在に至る。

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