でんさいネット、請求件数が過去最多 月55万件に迫る
2023.04.16 04:50
全銀電子債権ネットワーク(でんさいネット)の利用件数が増えている。3月の月間発生記録請求件数は54万8504件で、過去最多になった。前年同月比は2020年夏に伸び率が10%台に低下したが、新型コロナウイルスの感染拡大を機に手形・小切手から移行する動きが目立ち、伸びが再加速している。
3月の発生請求件数は1年前から22%増えた。最も伸びたのは資本金2000万円未満の中小企業と個人事業主で38%伸びた。資本金2000万円以上の中小企業は25%増、中堅企業が14%増だった。大企業は9%増にとどまった。
22年度は年592万件で1年前から21%増え、年600万件に迫った。3月の発生記録請求金額は3兆1939億2100万円で、1年前から20%伸びた。
件数が過去最多につながったのはコロナ拡大に伴う非対面重視の流れ。21年度は29%増、22年度が22%増と伸びた。政府が新型コロナ対応の緊急事態宣言を初めて発令した20年度も15%増え、経済活動が低下しても19年度に迫った。
でんさいネットは「一度でも利便性を理解した企業は手形に戻ることがほとんどない」と話し、コロナ禍が落ち着いても「でんさい」への移行を期待する。1月には債権金額の下限を撤廃するなど使いやすさを向上させた。
利用契約件数は65万8008件(3月末)。製造業が最多の16万5464件で、卸売業・小売業の14万7363件、建設業の13万1286件が続く。22年3月比で伸びたのは熊本県が41%増、佐賀県が11%増、石川県が9%増と目立った。
でんさいネットは全国銀行協会が100%出資する電子債権記録機関。銀行、信用金庫、信用組合、農業協同組合など全国495金融機関が参画している。開業は13年2月で、23年に10年目を入った。
「でんさい」を活用すれば中小企業など事業者にとっては債権管理コストを減らせる。支払い期日前でも一部金額の分割譲渡が可能になるなど円滑に資金調達しやすくなるメリットもある。
【訂正】冒頭の請求状況表のうち、縦軸の金額を「2桁」から「1桁」に訂正しました。(2023年4月18日8時46分)
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