【推薦図書】『山奥ビジネス 一流の田舎を創造する』(藻谷ゆかり著)
2023.03.31 04:45
【推薦者】信金中央金庫常務理事・室谷武彦氏
消滅可能性都市からの脱却、キーコンセプトは?
先般公表された総務省の2022年住民基本台帳人口移動報告で、コロナ禍でやや減速した東京への流入超も、20代を中心に拡大基調が加速するなど、大都市への人口集中が止まらない。こうしたなか、本書では、山奥ビジネスの展開事例として、熊本県山都町、石川県能登町、北海道岩見沢市美流渡地区、島根県大田市大森町を、また地域の魅力を差別化して交流人口を増加させる事例として、新潟県十日町市、北海道東川町、山梨県小菅村を、紹介している。
本書を読み進めれば、「人とストーリー」を求めた山奥ビジネスの旅を体験できる。なお、著者はこれら事例のキーコンセプトは、(1)ハイバリュー・ローインパクト(高付加価値で環境負荷が低い)、(2)SLOCシナリオ(スモール、ローカル、オープン、コネクト)、(3)越境学習(自分が育った土地を一旦離れ、進学や就職をして新しい技能・価値観を得ること)としている。このうち、若者、特に女性の移住を招くためには「オープンな地域社会」となることが最も重要であるとしている。
本書には、それ以外にも「一流の田舎を創造する」ストラテジーが提示されており、その実践の先には、消滅可能性都市からの脱却があるのではと感じる。
(新潮新書、税込み858円)
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