FW規制の緩和 当面見送り 顧客情報管理に懸念 金融庁
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金融庁は、銀証ファイアーウォール(FW)規制の追加緩和を当面のあいだ見送る。金融審議会(首相の諮問機関)の作業部会が示した方向性を踏まえたもの。SMBC日興証券が10月に同規制違反で行政処分を受けたことで、メガバンクグループの顧客情報管理体制を懸念する声が出ていた。
FW規制の緩和には金融審作業部会の提言が必要になる。同作業部会が金融資本市場の活性化に向けて12月12日に大筋了承した報告書案は、6月の報告書に記載した「引き続き検討を行うことが考えられる」との表現をほぼ踏襲し、結論を見送った。前回報告書と比較すると規制緩和した場合の意義についての記述を省いた分、前向きな姿勢がむしろ後退したようにも映る。
FW規制を巡っては同庁が6月、上場企業を対象に銀証間の情報授受規制を緩和した経緯がある。作業部会では引き続き、中堅・中小企業向けや、営業担当者が銀行と証券会社のどちらかでしか証券外務員登録ができない「二重登録規制」についても規制緩和を検討することになっていた。
風向きが一変したのは、SMBC日興証券が10月に受けた業務改善命令だ。同証券では、株式売り出しにかかる主幹事を獲得するため、顧客の意向を無視して三井住友銀行から非公開情報を入手した事案などが発覚。作業部会では個別事案と規制緩和は別問題とする委員もいたが、顧客情報管理に懸念があるなかで追加緩和の議論は時期尚早との流れに一気に傾いた。
これにより、銀行界が要望している規制緩和は遠のいたが、対応不可との結論が出たわけでもない。先行して緩和した大企業向け業務に関する同庁のモニタリングなどを踏まえ、2023年以降に作業務会で再び議論される場面が想定される。
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