コロナ後へ事業者支援の徹底確認 信組大会
2022.10.22 04:50
全国信用組合中央協会は10月21日、東京都内の経団連会館で第58回全国信用組合大会を開いた。鈴木俊一・金融担当相、長峯誠・経済産業大臣政務官、黒田東彦・日本銀行総裁、森洋・全国中小企業団体中央会会長が来賓として出席した。
全信中協の柳沢祥二会長(大東京信用組合会長)は、信組業界の課題として「アフターコロナを見据えた経営支援とそれらの業務に的確に対応できる職員の育成」が重要と述べた。また「デジタル技術の活用を業務の合理化・効率化につなげ、業務そのものを見直すDX。サイバーセキュリティの態勢整備とマネロン・テロ資金供与対策強化」も必要とした。
関係当局への政策要望では、①ゼロゼロ融資の返済が本格化するなか、コロナ後に向け、中小・小規模事業者の経営動向や信用組合の取り組み状況の注視②与信判断にあたり取引先の信用度を判断するなかで経営者保証も信用補完の役割を担っていることに対する配慮③公金受取口座登録法と預貯金口座個人番号利用申出法のマイナンバー対応で、共同センターの約10億円の開発費用や個別信組のランニングコストへの公費負担④事業者支援能力の向上に向けた取り組みが発展するためのサポート――などを求めた。
来賓の鈴木金融担当相は、信組に対して「厳しい状況に直面する事業者に対する資金繰り支援や、ポストコロナで事業者の回復力を後押しする収益力改善・事業再生・再チャレンジの総合的支援など事業者に寄り添った支援を引き続きお願いしたい」と要望した。
黒田日銀総裁は、「今後、取引先の細かな与信管理が必要となる局面で、実情をよく理解する信組の役割が重要。また、地域の課題解決や活性化では非金融面での取り組みが鍵」とした。そのうえで「地域を支え仲介機能を円滑に発揮するため、自身の経営基盤の強化も必要」と述べた。
大会は新型コロナウイルス対策のため昨年に続き規模を縮小して開催したが、リアル会場の参加者は昨年の倍の約100人に増やし、ソフトドリンクでの懇親も行った。大会の模様はしんくみバンク公式YouTubeチャンネルでもライブ配信した。

大会前には各種表彰、贈呈も行われた。「しんくみブランド表彰」では、大賞に君津信組が選ばれ、平野文彦理事長が「電子地域通貨『アクアコイン』を通じた地域活性化」をプレゼンテーション。懸賞作文「小さな助け合いの物語賞」の表彰では、受賞作の二つを信用組合ポスターのモデルで女優の佐藤奈織美さんが朗読。心温まるエピソードを紹介した。

会場取材に全国信用協同組合連合会の内藤純一理事長は「信組は業務そのものが地域貢献にもつながる。企業や地域を元気づける活動を信組として続けていきたい」と答えた。広島市信用組合の山本明弘理事長は「大会の参加人数も増え、活気が戻りつつある。ゼロゼロ融資の返済が本格化するなか、職員総出で取引先に寄り添っていく姿勢が大切」とした。
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