金融界の21年度役員報酬、総額256億円 業績評価にESG反映

2022.10.07 04:47
調査・統計
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役員報酬1億円以上が13人で最多の三菱UFJFG

全国の銀行と持ち株会社102行・社(うち持ち株23社、銀行79行)の取締役・執行役(2022年3月期の有価証券報告書ベース、社外役員と監査等委員を原則除く)の21年度役員報酬総額は、256億5400万円だった。新たに設立した持ち株会社3社を除く99行・社のうち約半数の50行・社で増加。大手行では報酬1億円以上が26人となった。


◆大手行、1億円以上は26人


大手銀行の5グループ(G)・9行では、報酬総額が20年度比8%増の102億2700万円。対象となる取締役・執行役は16人増えて195人(重複者含む)になっており、1人当たりの平均報酬額は5245万円だ。


3メガバンクでは今回、ESG(環境・社会・ガバナンス)評価が業績連動報酬の評価項目として出そろった。サステナビリティ実現への取り組みを重視する姿勢が鮮明になった。


三菱UFJフィナンシャル・グループ(FG)は、業績連動型株式報酬制度における指標を、現中期経営計画を開始した21年度から変更。ESG評価機関評価(評価ウエート5%)を新設し、連結ROE(自己資本利益率)の比率を25%から30%に引き上げた。


三井住友FGは、賞与(株式報酬を含む)の業績連動部分にESG評価指標を導入。ESGの社内目標達成率や主要ESG評価機関評価に基づき、10%の範囲内で反映させる。


みずほFGは業績連動報酬に、連結ROEなどの目標達成率だけでは認識できない過年度・他社比を考慮した「利益の質」を反映。同報酬にはサステナビリティの取り組みについて、主要ESG評価機関4社の評価を活用することを明記した。


大手行で報酬が1億円を超えた役員は20年度比8人増の26人。最多は三菱UFJFGの13人(2人増)。半沢淳一取締役(三菱UFJ銀行頭取)が2億7600億円で邦銀最高額。三菱UFJ銀の退職慰労金等4600万円を受け取った三毛兼承会長が2億4100万円で続いた。


三井住友FGは5人(1人減)。髙島誠取締役(三井住友銀行頭取)が2億500万円、太田純社長が1億9600万円で、他にも3人が1億円を超えた。


みずほFGは3人増えて4人に。坂井辰史社長が20年度に続き1億円以上となる2億300万円。他に、取締役1人と執行役2人が新たに1億円以上となった。三井住友トラスト・ホールディングスの2人、あおぞら銀行の1人も1億円以上だった。


◆地域銀、株式報酬制広がる


地域銀行とその持ち株会社88行・社(うち持ち株18社・銀行70行)の総支給額は154億2700万円。対象となる役員663人(重複者含む)の1人当たり報酬平均額は2327万円。


業績連動報酬の比率が高まるなか、ストックオプションに代わって新たな株式報酬制度を採用する動きが広がっている。中長期的な企業価値向上に向けたインセンティブ付与や、株主重視の経営意識を高めるのが狙い。今回、第四北越FGや千葉、京都、紀陽、京葉などの各行が新たに支給した。一方で、池田泉州銀行はストックオプション制度を維持し、持ち株会社の池田泉州HDでも同制度を導入した。


地方銀行(16社・42行)の総支給額は106億5900万円。対象役員(重複者含む)429人の1人当たり報酬額は2485万円だった。1人当たり報酬額の首位は、ふくおかFGの5800万円。個別行では、静岡銀行の5343万円、千葉銀の5014万円が上位。


第二地方銀行(2社・28行)の総支給額は47億6800万円。対象役員(重複者含む)234人の1人当たり報酬額は2038万円。京葉銀が4383万円で最高額だった。


◆信金、1人当たり24万円増


ニッキンは、22年3月末の預金量が5000億円以上の全国94信金について役員報酬を集計した。94信金の総報酬額は225億3300万円となり、20年度(93信金)の総額224億8500万円とほぼ同水準だった。


報酬総額が増加したのは48信金。一方、減少は43信金となった。役員(監事を含む)1人当たりの報酬額は1988万円で、20年度の1964万円から24万円増加した。


個別では報酬総額の最多は、浜松いわた信金の5億6500万円。昨年度の京都信金からトップが入れ替わった。次いで、岡崎信金(5億4900万円)、京都中央信金(5億4000万円)が上位となった。総額5億円超は、京都信金(5億2000万円)を含めた5信金。


報酬総額の増加額が最も大きかったのは西兵庫信金で1億3200万円。一方、減少額は京都信金の3億6100万円で、それぞれ退職慰労金が大きく影響した。役員1人当たりの報酬総額が最も少なかったのは、瀧野川信金の760万円。次いで湘南信金の910万円だった。


役員賞与は、全体の63%にあたる60信金が支給(開示ベース)している。最多は、城南信金の1億600万円。浜松いわた信金と大阪厚生信金がともに9500万円で続いた。


(ニッキン10月7日号に詳細掲載)

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