国内銀、TCFD賛同が1年で倍増 プライム上場で加速

2022.09.02 04:40
気候変動対応
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気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)の提言に賛同する国内銀行の数が8月28日までに88先となり、直近の1年間でほぼ倍増したことが分かった。TCFDの開示情報をもとにニッキンが集計した。プライム市場に上場する企業にはTCFDか、それと同等の枠組みに基づく情報開示が求められるようになり、対応を進める地域銀行が相次いだとみられる。


TCFDの産業区分で「銀行業」を集計した。数字には政府系金融機関や信用金庫なども含まれる。また、銀行によっては単体ではなく持ち株会社として賛同する例もある。


国内銀の賛同数は2021年8月時点で46だった。同9月以降の直近1年間では、新たに42先が賛同。その9割にあたる38先は地域銀で、うち紀陽銀行や佐賀銀行、中京銀行など31先は4月創設のプライム市場に上場している。地域銀以外では、セブン銀行と楽天銀行、信金初となった碧海信用金庫、京都中央信用金庫も賛同した。


年別の推移からは、足元の急増ぶりが鮮明だ。17年に3メガバンクがいち早く賛同を表明して以降、18年は地域銀初となった滋賀銀行など5先、19年は9先、20年は8先といずれも一桁だった。だが、21年には前年の5・6倍にあたる45先に拡大した。22年もすでに18先が新たに賛同し、2年連続で二桁に達した。


TCFD提言に賛同を示すことは、具体的な開示に向けた第一歩となる。先行して動いたメガバンクや大手地域銀はすでに開示済みで、気候変動が将来の財務に与える影響を試算する「シナリオ分析」の高度化に取り組むなど、内容の充実も進む。


金融庁は7月に公表したガイダンス文書で、金融機関が気候変動対応の戦略を策定するとともに、ステークホルダーに正確な情報を開示することが重要と指摘した。このため、今後はプライム上場以外の地域銀や信金でも賛同が広がっていく可能性がある。

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