政府、予算編成スタート GX・DXなど重要枠に
2022.07.30 04:42
政府の2023年度予算編成作業が7月29日、本格的に始まった。概算要求に関する基本方針が閣議了解され、各省庁は8月末までに取り組む事業の経費をまとめて財務省に提出する。金融関連分野ではグリーントランスフォーメーション(GX)やデジタルトランスフォーメーション(DX)、スタートアップ企業への投資を広げる事業が「重要政策推進枠」として認められ、予算額が大規模になる見通しだ。
「新しい資本主義」の実現を目指し、全省庁で最大4兆4000億円程度を重要枠として編成する。科学技術・イノベーションへの投資や、経済安全保障の確保に向けた事業も対象となる。各省庁の裁量で使える経費を前年度比で10%減らせば、減らした金額の3倍までを特別枠として要求できる仕組みを設ける。事業の予算額を書き込まない「事項要求」も、幅広く認める。
GXに向けては今後10年で150兆円の官民投資を目指し、サステナブルファイナンスを促す。同日に開かれた経済財政諮問会議では、民間議員から実現に向け金融市場活性化の重要性が強調された。
編成過程では、こうした重点分野に民間資金を呼び込むため、各事業の予算を1年ごとに考え直す「単年度主義」の是正にも取り組む。一方、諮問会議は国債発行について、コロナ禍で短期化した平均償還年限の短期化を是正する方針も示した。
社会保障費は高齢化による自然増を見込み、前年度当初予算比で5600億円の加算を認める。「経済財政運営と改革の基本方針 (骨太の方針)」で5年以内の抜本強化が示された防衛費も、事項要求の対象とする。引き続き、コロナ禍や資源価格・物価の高騰を受けた対策費も大きくなる見通し。
予算編成は各省庁が概算要求を提出した後、財務省主計局と各省庁の間で調整が進められる。12月末までに政府案が固まり、翌年1月から始まる通常国会に提出されるのが毎年の流れ。基本方針を了承した閣議後会見で、鈴木俊一・財務相は「歳出の中身を精査し、必要な財源も確保する」と強調。山際大志郎・経済再生相は、「新しい資本主義の実現に向け着実に進めていく」と話した。
おすすめ
アクセスランキング(過去1週間)
- MUFG、大谷翔平選手との契約が終了 ブランドパートナーとして6年間
- 自民党、郵政民営化法など改正案 上乗せ規制の文言修正 「速やか」から「3年ごと検証」へ
- 地域金融機関、福利厚生支援に熱視線 職域基盤の構築見据え
- NTTドコモ、銀行業参入に結論出ず 前田社長「なんとか進めたい」
- 信金、保証システム刷新へ 審査申し込みに紙不要
- やさしいニュース解説 証券口座の乗っ取り、隙を突く新たな不正手口
- 大手行、中途採用で営業力補強 地銀・信金から流出も
- MUFG、マイボトルの利用促進 ペットボトル1万4500本削減
- 常陽銀、手形帳などを等価買い戻し 法人決済デジタル化促進
- 高知銀、シニアへ業務委託拡大 人手不足解消に一手