富山銀、オペラ×地銀 異色のタッグ 力合わせ芸術振興
2022.07.22 10:26
大自然の中で歌う一人の男性。オペラ歌手・澤武紀行氏が出演する富山銀行のCMだ。同行は2021年11月に地元・射水市出身の同氏をオフィシャルパートナーに起用。オペラ歌手と地方銀行、異色の組み合わせによるCM制作や詐欺被害防止活動などが注目を集める。
オフィシャルパートナーに起用した背景には、コロナ禍で停滞した芸術・文化活動を支援する狙いがある。澤武氏はヨーロッパ各地の劇場で舞台に立ってきた経験を踏まえ「銀行による支援は文化振興につながる」と話す。「欧州では政治・経済・芸術がそれぞれ結びついていた。日本では、芸術と政治・経済に距離がある」と指摘する。
CMへの出演は、自身の信用の裏付けになったという。社会で確固たる地位を築いてきた銀行の存在の大きさを改めて感じた。
オフィシャルパートナーとしての仕事は多岐にわたる。同行が開催する地元企業の新入社員向けビジネスマナー研修では歌を披露し、新社会人にエールを送った。射水市の安心・安全大使も務めており、6月には射水署と富山銀が開いた特殊詐欺防止のイベントに協力した。
海外で活躍しながらも長期休暇には日本で数々の公演を実施してきた。売りは演歌や和楽器など他ジャンルとのコラボレーション。「興味のない人にオペラを聴かせるのは、ただの押し売り」と考える。観客を楽しませるため、工夫を惜しまない。
コロナ禍で欧州に行けなくなった後も、富山県内で精力的に活動を続ける。氷見市では、第九の合唱団を率い、「ひみ第九」として今秋完成する芸術文化会館で披露する予定だ。
澤武氏は、銀行のサポートに対して責任をもって演奏活動をすると誓う。「富山銀のような動きが他の金融機関にも広がってほしい」。
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