地域金融機関、TCFD開示研修に殺到 環境省が7月から開始
2022.07.11 04:41
環境省が7月下旬に開始する気候関連情報の開示を支援する研修事業に、69の地域金融機関が参加する。同省は当初50先を上限としていたが、想定以上の応募があったため枠を広げたという。背景には、プライム市場の上場企業に対する気候情報の開示要請や、日本銀行による気候変動オペの活用ニーズがあるとみられる。
研修は、「気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)」の提言に基づく開示を後押しするため、同省が2022年度から新設した。TCFD開示への対応は、東京証券取引所が4月に創設したプライム市場の上場企業に求めているほか、金融機関が日本銀行の気候変動オペを利用する際の要件にもなっている。
同省によると、研修には採択数を上回る応募があり、開示を支援する必要性などを総合的に判断して69先に絞ったという。内訳は地方銀行が42行、第二地銀が23行、信用金庫が4金庫。採択された銀行の約8割にあたる52行はプライムに上場している。
一方で、プライム以外の上場銀行や非上場銀行も13行が採択された。信金も含め、脱炭素を意識した経営姿勢の強まりや、グリーンローンなどの原資を金利ゼロ%で金融機関に貸し出す気候変動オペの活用に向けた開示対応ニーズがうかがえる。採択先のうち碧海信用金庫は6月、信金として初めて同オペの対象に選定された。
研修は計6日間の日程で、採択先を夏期と冬期の2グループに分けて実施する。気候関連のリスクと機会を適切に把握し、経営戦略に落とし込む実践的な開示のノウハウ習得を後押しする。通常コースに加え、すでに開示を始めた金融機関がさらに質を高めるための講義を追加したコースも用意した。半数以上が後者を選択したという。
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