外貨建て保険の共通KPI 地域銀は9割公表
2022.07.07 04:42
地域銀行による「外貨建て保険の販売会社における比較可能な共通KPI(成果指標)」の公表が相次いでいる。7月1日までに90行が二つの指標のいずれかを公表。対象顧客を100%とした場合のリターン別の顧客分布を示す「運用評価別顧客比率」(2022年3月末基準)では、評価益となった顧客の割合が「70%以上80%未満」が32行で最多だった。一方、評価損を出した顧客が半分以上の地域銀は約1割に及んだ。
外貨建て保険の共通KPIは、既に普及している投資信託の共通KPIと同様に、外貨建て一時払い保険の運用実績を同一基準で可視化したもの。運用評価別顧客比率と、契約から5年以上経過した各銘柄の平均コストと平均リターンを座標で示す「銘柄別コスト・リターン」の二つがある。3月末を基準日とし、毎年更新する。
本紙集計では、90行が運用評価別顧客比率を公表。「運用損益がプラスのお客さまの比率は、円安などの影響により73.6%」(中京銀行)など、9割の地域銀で顧客の半数以上が評価益となった。評価益を出した顧客の割合が90%以上だったのは、北国銀行、スルガ銀行、仙台銀行、宮崎太陽銀行。なかでも北国銀は99.7%が評価益だった。
一方、半分以上の顧客が評価損だったのは9行。評価損の顧客の割合が61.8%の地域銀もあった。
銘柄別コスト・リターンは89行が開示。対象となる契約の解約返戻金額と既支払金額の合計額を加重平均した「加重平均値」をみると、リターンがコストを上回った地域銀が9割を占めた。7行はコストがリターンを上回った。
ある生命保険会社の担当者は、コスト・リターンの関係性について「地域銀が扱う商品性が大きく関わっている」と分析。そのうえで、「例えば、生前贈与型の商品などは、運用面だけでは見えない保障の特性がある。その部分があまり反映されていないという印象だ」と話した。
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