地域金融機関、「先導的人材」初の100先採択

2022.07.02 04:43
人材紹介
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地域企業の経営人材の確保を支援するため、認可を取得して人材紹介業務に乗り出す中小の地域金融機関が増えている。内閣府は6月30日、2022年度の先導的人材マッチング事業の採択数が過去最多の100先(複数機関の連携型含む)になったと発表した。前年度より19先多く、第二地方銀行や信用金庫の新規申請が目立った。一方、先行する地方銀行などは業務の内製化を進めて成約率を高めている。


金融庁が18年3月に人材紹介業を解禁した当初、参入の中心は大手の地銀だった。中小規模の金融機関は体制整備の負担などを考慮し、全国のプロフェッショナル人材戦略拠点との連携や、人材紹介会社とのビジネスマッチング(BM)で対応する例が多かった。ただ、外部連携を通じて知見の蓄積が徐々に進み、足元ではより主体的に取り組もうとする金融機関が広がりつつある。


こうした機運を反映し、認可取得など「質を担保できる仕組み」の構築が応募要件となる先導的人材マッチング事業では、信金の採択数が21年度の9先から22年度は22先に拡大。第二地銀も同じく20先から24先に増え、西海みずき信用組合(長崎県)は信組業界で初めて採択された。同事業では、金融機関は成約1件ごとに補助金(上限100万円)を受け取れるため、収益的な魅力は大きい。


応募が増える背景には、同事業の対象人材層である「経営者の右腕」に対する求人ニーズの強さもある。金融庁が2~3月に実施した企業アンケートでは、金融機関から受けたいサービスとして約8700社の23%が「経営人材の紹介」と回答。うち半数は「手数料を払っても良い」とした。対象がワーカー層であればBMでの対応も可能だが、経営幹部層ではより深い企業理解に基づく求人票の作成が求められ、認可取得など体制の高度化が欠かせない。


金融機関が今後、人材紹介で持続的に収益を拡大していくには、成約件数を積み重ねることはもちろん、提携先の人材会社に頼らない業務範囲を広げる「内製化」もカギになる。実際、早くに認可取得した地域銀では、求人票の作成までの「片手型」でなく、当初は人材会社に任せていた求職者側の対応も行う「両手型」モデルの実践が始まっている。


金融庁が6月30日に公表したレポートには、そうした地域銀の先進的な取り組みの記載もあった。例えばある地域銀では、求人ニーズありきで動くのではなく、取引先が抱える課題を特定したうえで、その解決に資する人材を能動的に提案することで成約率を高めているという。


同庁自身も、21年10月から大企業人材を採用した地域企業に補助金を支給する事業を本格稼働させ、地域金融機関の人材紹介業務の高度化を後押ししている。同事業には直近で92の地域金融機関が参画しているという。

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