読者の意見「新入行職員への期待と助言」 仕事への意欲 自覚ある行動

2022.06.30 04:50
読者の意見
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2022年度のスタートからはや3カ月。4月に入社した行職員は集合研修を経て、営業店など各職場で働き始めている。そこで本紙読者に新人への期待や受け入れ側の気持ちなどを聞いたほか、自らの新人時代の失敗談を振り返ってもらった。


【調査方法】本紙5月13日号で意見を募集し、74人から回答を得た。回答者の勤務別内訳は都市銀行・信託銀行6人、地方銀行25人、第二地方銀行11人、信用金庫23人、信用組合2人、労働金庫2人、その他5人。


Q1)新入行職員へ何を期待するか



最も回答が多かったのは「仕事への意欲」だった。「金融のプロとして成長するには、がむしゃらに仕事へ立ち向かう姿勢が大事」(地銀50代)や、「社会人として生きていくためには不可欠。スタート地点から意識してほしい」(地銀60代)との声があった。30代の信金職員は、仕事への意欲を持つことで「何事も前向きに取り組めるのでは」と助言する。


次いで回答が多かったのは「社会人としての言動」だ。顧客をはじめ上司や先輩に対して「敬語の使い方を含めて言葉遣いをしっかり学んでほしい」(地銀50代)と注文する。ただ「新人向け研修内容に不十分な点がある」(同)とも指摘。共通していたのは、金融機関に勤務することの自覚だ。「顧客の大切なお金を信用で預かっている。絶えず認識し行動してほしい」(信金50代)。


3番目の回答には「職場への調和」が挙がった。コロナ禍で職場内のコミュニケーションが希薄になるなか、仕事を円滑に進めるために会話を重視する意見があった。


「電話対応など周囲のサポート」を期待する声は少なかったが、「支店の取引先の社名だけでなく、社会人の言葉遣いを覚える絶好の機会。積極的に電話を取ってほしい」(地銀30代)という要望も。


Q2)新人を受け入れる側として心がけていることは



回答は「相談しやすい雰囲気づくり」が最も多い。「右も左もわからない新人にとって、上司や先輩に話しかけることができる環境は不可欠」(地銀60代)というのが理由。また「自己解釈し間違って覚えてしまうことを防ぎたい」(信金50代)や、「悩みを抱え込むことは後に大きな事故につながる」(地銀40代)として、リスク管理の観点から重要視しているようだ。


2番目に挙がった回答「成長を後押しする環境」については、「相談に乗るだけでなく、強みを引き出して成長への道筋や方法を明示することが肝要。伸びる会社はこうした体制が出来ている」(地銀60代)との指摘があった。


Q3)早めの取得勧めたい資格は



ファイナンシャル・プランナー(FP)を推す声が最も多かった。「顧客に対して金融に関する税務や法務などをアドバイスできるだけでなく、自分自身の役にも立つ」(地銀40代)、「銀行員として必要な知識であり、顧客と日頃の会話でも有効」(第二地銀50代)というのが主な理由だ。


日商簿記については、「取引先を知るための基礎知識」(第二地銀40代)。宅地建物取引士には「住宅ローンに関する法律的な知識を得られる」(労金50代)という効果のほか、「もし銀行を去る日が来ても、自身のキャリアを支えてくれる」(都銀60代)との声も。


一方、具体的な資格名を挙げずに「若いころから勉強する習慣を身に着けたほうがよい」(信金30代)との助言もあった。また、40代の信金職員からは「職責が高くなったり、家庭を持ったりすると時間を作りにくくなる。資格取得という『独自で生きる力』を持つことで、心の余裕が生まれる。良い仕事につながり、周りからも一目置かれる」と取得の時期や波及効果についてアドバイスがあった。


Q4)新人時代の失敗エピソードは


ベテランや中堅となった行職員にも新人時代があり、当時の失敗は少なくなかったようだ。


職場のケースでは「入社1年目に酒を飲み過ぎて翌日仕事にならず、支店長から『帰れ』と言われて、自宅に戻った。自らの言動に責任感がなく、いまだに反省している」(信金60代)。「細かい指摘を重ねる先輩に対し、イライラした態度を取ってしまった。数年後、その指摘の重要性に気づいた」(第二地銀40代)。


顧客先でも失敗の経験を持つ。「親しいと思っていた顧客に対し、油断して失礼な振る舞いをしてしまった」(地銀50代)。


40代の地銀行員は、顧客へお詫びをする際に「新入行員で慣れておらず…」と口にしたところ、「銀行員として顧客に対応するには新人、ベテランは関係ない」と火に油を注ぐ格好となった。以来、プロ意識を強く持って仕事に取り組んだ。「その時の顧客は声を荒らげたりするわけではなく、まさに『指導』という雰囲気だった」と振り返り、今でも感謝しているという。


処世術として、新人に贈るメッセージもあった。50代の地銀行員は「顧客のために精いっぱい働けば、処遇で報われると考えたことが大失敗。役員や上司のために働き、『うまくやったアピール』も欠かさないことが、組織の中で生きる最も大事なことだった」と自嘲気味に回答した。


【連合が調査】入社前後のトラブル


日本労働組合総連合会(連合)は22年4月、「入社前後のトラブルに関する調査」の結果を公表した。対象は大学卒業後に新卒で正社員として就職した全国の男女1000人(入社2~5年目)で、調査時期は同年2~3月。


「入社後に上司や先輩から指導、アドバイスはあったか」との問いに対し、「十分にあった」は35.9%、「ある程度はあった」は43.1%だった。一方、「まったくなかった」は6.1%、「あまりなかった」は14.9%の回答があった。


「入社した会社における問題は」との質問には、複数回答形式で上位から「時間外労働が恒常的」「仕事に見合わない賃金(低賃金)」「精神的に不調になり辞める人が多い」という内容が並んだ。


「勤め先における不安や悩みを相談したい場合、どこに相談するか」との問いに対しては、「家族や友人」を挙げたのが79.6%で最も高かった。次いで「勤務先の上司や同僚」が34.4%との結果になった。


全回答者(1000人)のうち、新卒入社の会社から離職した人は332人。退職の理由を聞くと「仕事が自分に合わない」が40.1%、「労働時間や休暇の条件が良くなかった」が31%、「賃金の条件が良くない」が27.4%、「会社の将来性がない」が26.2%という答えだった。

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