金融庁調査、ESG投信の4割が10年以下 矛盾を懸念
2022.04.26 04:45
金融庁は4月25日、「ESG(環境、社会、ガバナンス)投資信託」の約4割は償還期限が10年以下に設定されている、との調査結果を公表した。償還期限が短い場合、中長期的な視点が求められるESG投資の本来のあり方と矛盾する恐れがある。同庁は資産運用会社に対し、顧客への適切な説明を求めていく。
2021年10月末時点でESG投信225本(37社)を対象に調べた。償還期限が10年以下だったのは83本(37%)。うち23本は5年以下だった。一方、49本(22%)は10年超と長期の設定で、93本(41%)は期限の定めがなかった。
ESG投資は、投資先企業などの長期的な成長可能性を考慮して運用資産の拡大を目指す投資手法。同庁は「(償還までの期間が短い投信は)期限の到来とともに延長を視野に入れているのだろうが、顧客への合理的な説明は必要」と指摘する。
今回の調査は、サステナブルファイナンス有識者会議が提言した。何をもってESGとするか明確な基準がなく、実態を伴わない「名ばかり」投信が増えかねないとの懸念が高まっていた。
今回の調査では、資産運用各社の体制整備や投資先選定に関する情報開示などにも課題が見つかった。同庁は分析結果をもとに、5月にもESG投信を扱う際の留意点を示し、運用会社の監督を強化する。
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