【推薦図書】「リーダーよ、アホであれ」(片山修著)
2025.10.10 04:30
【推薦者】日本証券業協会副会長・専務理事 松尾元信 氏
「人間力」で勝負
リーダーは、人を、仕事を、社会を動かす存在である。本書は、リーダーたる経営者育成のための一流塾をライフワークとする一柳良雄氏の、リーダーこそ「アホであれ」との強烈なメッセージを内容としている。
アホであることの基本は、肩書や地位、思い込み、体裁などの裃(かみしも)を脱ぎ、「人間力」で勝負することである。本書では、「会って別れる際に『もう一度会いたい』と思わせる人間になる」「現場に行く」「(どうせやるなら)おもしろおかしくやる」「人よし、自分よし、世間よし」「一分間で人を笑わす自己紹介をする」など、実行しようとするだけでも人間力が増す、アホであるためのヒントや考え方が満載されている。一柳氏は、通商産業省(現経済産業省)時代も文字通りパンツを脱いで本音の勝負をし、挫折、失敗を人間力で乗り越えベンチャー支援に情熱を注ぎ、一流塾においても本音で勝負できる人づくりを行ってきた人間で、その「アホであり続ける」一貫した生きざまから来る説得力がある。
いわゆる経営書とは一味違う、金もうけではなく「人もうけ」の天才である一柳氏の一生を描いた、先の見えない現代に人間力で勝負せざるを得ないリーダーの必読書として推薦します。
(東洋経済新報社 税込み1980円)