米長期金利が2%超え、予想上回るCPI伸び率受け
2022.02.11 13:44米国の10年物国債利回り(長期金利)が2月10日(現地時間)に一時、2%を超えた。同日朝に公表された1月米消費者物価指数(CPI)が市場予想を上回る伸びとなり、FRB(米連邦準備制度理事会)の金融引き締め姿勢をより強めると市場が織り込んだことなどが要因とみられる。
米労働省が発表した1月の米CPIは前年比7.5%と、市場予想を上回る高水準の伸び率となった。1.9%台前半で推移していた米長期金利は発表直後から、FRBの利上げペース加速などが意識されて急騰。約2年半ぶりに2%台をつけた。
政策金利の見通しが強く反映される米2年物国債利回りも一時、1.6%に達し、CPI発表直前から20ベーシスポイントを超える上昇を示した。
コロナ禍の政策対応によるFRBの〝ゼロ金利〟復活(2020年3月)で大きく低下した米金利は、経済正常化期待などで同年夏ごろから上昇基調をたどり、21年初には長期金利が1%に達した。市場では同年中に「2%台に乗せる」と見る向きもあった。
ただ、「インフレは一時的」とするFRB高官らの政策スタンスや、デルタ株の蔓延など新型コロナ感染の先行き不透明感から同年央には1%台半ばで揺れる局面もみられた。
転換点は「労働市場の回復」。雇用者数の増加や失業率が低下するなか、賃金はインフレ率と同様、上昇に歯止めがかからず、FRBはスタンスを「タカ派」に転化。その色合いを強め、金利の上昇圧力を高めている。
第一生命経済研究所の熊野英生氏は「FRBのわずかな姿勢変化でも市場が過敏に反応しやすく、超長期など年限の長い債券を中心にボラティリティが高まる恐れがある」と今後の市場動向を見通し、金融機関の有価証券運用について「決算期末(年度末)にかけて株式や外国為替を含めストレスがかかる相場環境なため、スタンスの取りづらい局面が続く」とみる。
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