FRB議長、早期利下げ匂わせも関税影響に「大きな不確実性」
2025.08.23 12:41
米連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長は8月22日、米西部ワイオミング州で開いている経済シンポジウム「ジャクソンホール会議」での講演で、「雇用の下振れリスクが高まっている」と訴え、次回(9月)の米連邦公開市場委員会(FOMC)での早期利下げを匂わせた。
パウエル議長は講演で、米関税政策を受けた労働市場に関し、8月初旬に明らかとなった直近(7月)の米雇用統計に触れ、過去3カ月の雇用者数増加ペースが大幅に鈍化したことに対する懸念を示した。歴史的低水準が続く失業率については、「労働者の供給と需要の双方が著しく減速していることから生じる奇妙な均衡」と解釈を語った。
一方、上昇基調に転じる消費者物価動向では、「大きく転換している」と再加速を警戒。今後の影響に対しては、「(関税率引き上げの影響が)数カ月かけて蓄積されていくと予想されるが、その時期と規模に大きな不確実性がある」と見立てた。
また、実際の物価の高まりが法個人のインフレ予想を想定以上に引き上げ、物価安定目標の「2%」から乖離する可能性を述べ、経済停滞・雇用悪化と物価上昇が同時進行する「スタグフレーション」リスクにも言及。「物価安定」と「雇用最大化」というFRBのデュアル・マンデート(二つの使命)のバランスを取ることが「困難な状況」に直面している実態を述べた。
そのうえで、足元までの統計(データ)に基づく見通しや先々のリスク度合いを政策判断で重視する「データ・ディペンデント(データ次第)」のスタンスを堅持した。24年秋~冬に計1%幅の利下げを断行したこれまでの政策運営を振り返り、「(景気を温めも冷やしもしない)中立金利に100ベーシスポイント(1%)近づき、政策スタンスの変更を慎重に検討していくことができる」と時間的な余裕を強調。具体的な利下げ時期の明言を避けるなど政策判断における裁量的な要素を残した。
FRB議長講演を受け、22日の米市場ではダウ工業株30種平均が前日比846.24ドル高の4万5,631.74ドルで引けた。ドル円相場は日米金利差の縮小が意識され一時、2円以上の円高水準となり、1ドル=146円台後半で推移した。
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