投信ビジネスの勘所 投信におけるリスク説明の留意点
2025.08.09 04:30
投資信託の販売時においては、投資対象や商品の仕組みに加え、基準価額の変動要因となるリスクの適切な説明が求められる。目論見書には各種リスクが記載されているが、分類や表示内容には運用会社ごとに差異があるため、より明確で丁寧な説明が必要となる。本稿では、主な投信のリスク(表参照)における留意点をいくつか紹介する。
まず、株式投資のリスクである株価変動リスクについては、中長期的には企業業績や業界動向などを反映した株価の値動きが基準価額の変動に影響を及ぼすが、短期的には市場心理や突発的なニュースによって基準価額が急激に上下する可能性がある点を押さえておく必要がある。また、不動産投資信託(REIT)の価格変動リスクでは、不動産市況や保有物件の評価額に加えて、金利水準が価格に大きく影響することに留意が必要である。
外国証券投資のリスクである為替リスクについては、為替ヘッジを行うファンドでも為替の影響を完全には排除できず、内外金利差や通貨の需給に伴うヘッジコストが発生する。さらに、主要通貨のみを対象とした限定的なヘッジでは、ヘッジ対象外の通貨における為替変動リスクが残るため、誤解のないよう説明に努める必要がある。
その他のリスクとしてはコモディティリスクにも留意が必要である。商品需給の変動のほか、先物市場での投機的取引などによって価格が大きく変動する可能性がある。金のような安全性が高いと考えられる資産でもこうした影響を受ける可能性があり、十分な説明が求められる。
これらのリスクは、目論見書に記載があるものの、顧客が読んで必ずしも分かりやすいとは限らない。投信のリスクを説明するにあたって、想定顧客に合った商品を販売することや、顧客が自己責任として投資を行ううえで分かりやすい情報提供を行う必要性があるということを、いま一度認識しておきたい。
三菱アセット・ブレインズ ファンドアナリスト 石田 篤史
関連キーワード
おすすめ
アクセスランキング(過去1週間)
- 信金・信組、求められる内部監査高度化 担当部門任せから脱却も
- 経産省、「人的資本経営」を浸透 25年度は地方初開催
- 地域銀、融資ファンドへ参加増 LBOノウハウ習得狙う
- 信金・信組、共同化費用の抑制図る 資金交付制度拡充を要望
- みずほFG、勘定系「MINORI」初のシステム更改完了 正常稼働
- 金融機関、AI急拡大 過半数が利用 日銀調査
- 改革の旗手 淡路睦・千葉銀行代表取締役専務執行役員・グループCSuO、誰もが活躍できる道拓く
- 西日本シティ銀、「戦略人財」を計画育成 高い専門性備え配置
- 銀行界24年度役員報酬、1億円以上は44人 MUFG亀澤氏が4億円台
- 三菱UFJ銀、日立と再生材支援へ提携 金融機能で循環促す