公取、上場値付けに懸念 金融庁や日証協に対応促す
2022.01.29 04:45
公正取引委員会は1月28日、新規上場企業の公開株価が低く抑えられる傾向が強い点などに懸念を示す報告書を公表した。株の販売を引き受ける証券会社が、価格を大幅に割り引く慣習の存在を指摘。金融庁や日本証券業協会、東京証券取引所に対応の検討を促す。
公開価格を決める過程などに関する調査の結果をとりまとめた。過去1年で上場の主幹事を務めた証券会社や、上場を果たした企業を調査対象とし、実態を把握した。
上場時の価格割り引きは、調査したすべての企業が「実施された」と回答。さらに、割引率の算定根拠については「主幹事から具体的で納得できる説明を受けた」と答える企業が一部にとどまった。公取は、「合理的な根拠に基づかずに価格を低く設定することは、独占禁止法上の問題となる恐れがある」と指摘している。
業界の自主規制で原則禁止とされる機関投資家に対する事前の需要見込み調査の普及や、証券会社の個人投資家向け営業部門の意向が価格決定に反映されやすい体制の改善も必要視している。ブックビルディング(需要積み上げ方式)で仮条件を決めた後、その条件内での公開価格設定を重視する点についても見直しを求めた。
国内の新規上場では初値が公開価格を大幅に上回るケースが多く、企業の資金調達額が海外に比べて小さくなりやすい。政府は2021年の成長戦略実行計画でこうした課題を指摘し、実態把握と慣習の見直しに踏み込む姿勢を示していた。日本証券業協会も作業部会を設けて改善策を検討しており、近く報告書を取りまとめる見通しだ。
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