金融ホームドクター養成 FP実践力強化(38)2022年相場展望(2)新興国株式・債券

2022.01.14 04:01
FP実践力強化
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2022年の市場展望について、お聞かせください。
 明けましておめでとうございます。昨年末に続いて、22年の相場展望を語りたいと思います。今回は新興国株式と債券について。
 景気回復に伴い、堅調な需要に対し、供給不足、商品価格の上昇によって、インフレは先進国だけではなく新興国でも加速しています。また、新興国ではワクチン接種の遅れに伴い、経済回復のスピードに不均衡が生じています。
 IMF「世界経済見通し21年10月」によれば、そうした理由も相まって、新興国全体の成長率見通しは、21年が6.4%、22年は5.1%と予測しています。この数値だけ見るとそんなに悪くなさそうにも見えるものの、各国・地域でばらつきが生じています。想定通りの成長率となりそうなのがインドです。IMFでは、インドは21年の成長率が9.5%と予想、22年の成長率が8.5%予想となっています。20年はマイナス7.3%成長だったことを加味すれば、先進国に劣らず、既にコロナ禍前の経済状況に戻り、さらに成長を遂げる模様です。
 一方で、中国では、生産年齢人口の減少や資本ストックの伸び率の鈍化により、今後成長率は低下する見通しです。中国人民銀行は、21年3月のワーキングペーパーで潜在成長率が25年にかけて5.1%へ低下する方向と試算していますし、IMFの予測でも22年は5.6%成長と見込まれています。この他、ブラジルも生産年齢人口の増加率が低下してきており、成長力に陰りが見えてきています。IMFの予想では、22年の成長率は1.5%予想であり、以前のような高成長とは言えなくなってきています。
 短期的な目線だけではなく、中長期的な目線から見ても、新興国で期待できそうなのはインドではないでしょうか。そのため、22年はインドに注目すると良い年になりそうな気がします。
 なお、各国いずれも成長率はプラス予想であって後退しているわけではありませんが、政策や物価などの影響により大きく変動する可能性があります。
 物価に関しては、IMFによれば先進国だけではなく、新興国も22年末には通常レンジに戻る見込みです。仮に通常レンジに戻れば、金利引き上げなどでの対応はしなくてよくなるため、債券にはプラスとなるかもしれません。22年は新興国のうちインフレ率が安定してきている国の債券への投資もよいかもしれませんね。ただし、米国金利上昇に伴い新興国通貨安となる可能性があります。この場合には、為替差損が生じる場合がありますので、株式にせよ債券にせよ注意が必要です。
 CFP 伊藤亮太

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