【推薦図書】『カレー移民の謎 日本を制覇する「インネパ」』(室橋裕和著)
2025.04.04 04:30
【推薦者】三菱UFJニコス社長・角田 典彦氏
インドカレー店の謎解明
今回は、日本全国どこでも見かけるようになった「インドカレー店」を通して、日本の移民社会をビビッドに描いたノンフィクションの名著を紹介します。
わが家の近くには3店もあり、メニューもバターチキンカレーにナン、タンドリーチキンと似通っていておいしく、お店の人もとても好感度が高いのですが、なぜか経営者はネパール出身の方が主体です。
こうしたお店は「インネパ」と呼ばれているとのことですが、本書は「どうしてネパールの人々なのか」「一体どういった歴史で日本全国に展開していったのか」を筆者の綿密な取材でどんどん解き明かしていく迫真のミステリーとなっており、歴史風味も満載です。
そこで明かされるインネパの源流となる「アショカ」という有名店は私も伺ったことがあり、とてもおいしいお店でしたのでさらに親近感が湧きました。
インネパの歴史を通じて、携わった皆さんの苦労、これまでの発展の光と闇にも鋭く切り込んでいるのですが、読後がとても良くて、近くのインネパに伺って、「お店の皆さんは本当に大変な覚悟をして日本に来られたんだなー。頑張って!」と応援したくなること請け合いです。気軽に読めますので、ぜひ一読してみてください。
(集英社新書、税込み1320円)