小説　ザ・フロント・バンカーズ（61）

江波戸哲夫／和田早苗（画）
石原がせっせとアプローチしても訪問の機会を作れなかったのに「支店長がご挨拶に伺いたいと申しています」というとすぐにＯＫが出たという。
　杉谷は石原の期待に応えるため、滅多に使えない必殺アイテムを仕込んで同行することにした。
　三橋も、Ｍ北支店の多くの富裕層と同様に農家出身の地主だった。アパート一棟、マンシ...