苦情に学べ 偉人の名言から「苦情」を捉える
2025.03.08 04:10
本連載の最終回では「苦情等」に係る過去の偉人の名言を取り上げてみたい。こうした偉人たちの苦情に係る言葉は今後、我々が仕事を行っていくうえで何かを示唆してくれるのではないだろうか。
「苦情から縁が結ばれる」
(松下 幸之助氏)
この言葉は、人は褒められればうれしいが、欠点を指摘されたり、苦情を言われたりするのは、面白くないものだ。「需要家の方(お客さま)からいただくお褒めの言葉はもちろんありがたいが、苦情のお手紙を頂戴するのもありがたいことだ」。なぜなら、苦情を言ってくれなければ、「あそこの製品はもう買わない」ということで終わってしまう。一方、不満や苦情を言ってくれれば、そのときは「もう買わない」と思っていても、その不満を丁重に扱って原因をつかむとともに、誠心誠意の対応をすれば、かえって誠意が通じ、縁が結ばれるということである。苦情を受けたときは縁が結ばれる好機として大事にすべきということである。
堀場雅夫氏(堀場製作所創業者)も同じような趣旨の名言を残している。
「お客さまの厳しい言葉こそ、篤(あつ)い信頼の裏返しなのだ。お客さまが怒(おこ)ってくれるのは、自分に対するエールである。名誉と思って、信頼に応えられるよう努力していかなければいけない」
苦情を嫌なものとネガティブに考えず、「お客さまとの縁」「自分に対するエール」と考えれば、苦情もポジティブに捉えることができるということではないだろうか。
また、堀場氏はこうも言っている。
「お客さまから苦情があったときは、すぐに飛んでいって最善最速の対応、処理を行えば、お客さまの怒りは鎮まり、『こんなに素早く対応して、一生懸命問題を解決しようとしている。この会社はやっぱりいい会社だ』と思ってもらえるものだ」
これら苦情に係る名言からわれわれが学ぶべきことは、苦情を嫌なこと、ネガティブなことと捉えず、ポジティブな思考で考え、迅速に行動することで前向きなことやビジネスにつながっていくということではないだろうか。
こうしたことを組織としてまた、個人としていかに実践できるか。この点が苦情を考えるうえで重要なことを示唆しているのではないか。
これらの名言を踏まえ、この連載がいま一度「苦情」を考える機会となったのであれば幸いである。(おわり)
金融監査コンプライアンス研究所代表取締役 宇佐美 豊
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