地銀9行とVCが勉強会 物流・運送業の課題を共有
2025.01.30 18:56
地方銀行9行とベンチャーキャピタル(VC)のファーストライト・キャピタル(旧社名:UBベンチャーズ)は1月30日、物流・運送業界の課題とスタートアップのデジタルトランスフォーメーション(DX)による課題解決についての勉強会を開いた。2024年7月に設立し、3か月ごとに業種別の課題の解決策を学ぶ「地域課題解決DXコンソーシアム」の第3回会合。
まず、同キャピタルの早船明夫チーフ・アナリストが、物流業界の課題を説明。将来、日本の人口は減っても物流の需要は減らない半面、支える労働者は中年層が多いことから今後大幅に人手不足が進行すると説明。また、IT化が進んでおらず業種としては最も生産性が低いと指摘。その要因として長時間の荷待ち問題が解消されていないことや、各事業者がパレットや台車、ダンボールなどをそれぞれ使っており、事業者間の標準化に手を付けられていない問題点を挙げた。
そのうえで近年投資が加速している物流スタートアップの状況や代表的なスタートアップの普及事例を紹介。「物流業界は、データ化や業務の標準化、ネットワーク化が進み始めた状況。スタートアップというとAI(人工知能)や自動化、ハードの設備化が着目されるが、まず標準化となるデジタル化やクラウド化を進めて、そこと掛け合わせることでイノベーションが起きる」と述べた。
続いて、スタートアップのプレゼンテーションが行われ、倉庫の空きスペースを必要とする企業とスペースを提供できる企業のマッチング・プラットフォームを運営する「SOUCO」の中原久根人代表、運送業界向けのクラウド車両管理システムや車両売買プラットフォームなどを提供する「Azoop」の朴貴頌社長が登壇し、業務効率化支援の取り組みを発表した。
第3部では、Azoopのサービスを採り入れDX化を進めた事例として、松下運輸の松下龍平課長と朴社長、モデレーター役で同キャピタルの麻生要一ベンチャー・パートナーの3人によるパネルディスカッションが行われた。
同コンソーシアムは、常陽、静岡、山陰合同、中国、山口、四国、福岡、佐賀、鹿児島の9行が参加し、日本の主要産業でありながらも労働力不足をはじめ喫緊の課題を抱える業種について理解を深め、スタートアップのDXを地域企業の課題解決につなげる枠組み。
次回は4月24日に開催する予定。